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ブログ

保育所経営ブログ

VOL.75「体罰防止に向けた法改正の動向」

2022.02.22

皆さん、こんにちは!
川原経営の神林です。

 

年度末から年度はじめにかけてのこの時期は、
さまざまな法律・ルールの改正に向けた準備が必要です。

 

次年度に関しては、
あらたな処遇改善臨時特例事業に加え、
育児・介護休業法女性活躍推進法などの労働関連法律の改正も控えています。
(※詳しくは、弊社の社会保険労務士「薄井和人」のブログをご確認ください)

vol.22「2022年労働関連法令はどう変わる?」

 

保育に携わる方々が知っておかなければならない法改正動向として、
「民法の懲戒権の見直し」は欠かせないトピックスでしょう。

 

今回は「体罰防止に向けた法改正の動向」について解説します。
(※関連する過去のブログは下記をご確認ください)

VOL.50「児童虐待防止の改正について」

VOL.51「児童福祉法の改正に関して」

 

 

民法822条には
「親権を行う者は、監護及び教育に必要な範囲内でその子を懲戒することができる」
と規定されており、
親等によるしつけ等の教育を目的としたいわゆる「体罰」が一定範囲内で認められています。

 

このことが親等の子に対する体罰(≒虐待)を正当化する事由となっていました。

 

これに対し「児童虐待防止法」は、
2019年の改正において「体罰の禁止」を規定したことから、
法律上の矛盾が生じてしまいました。

 

そこで、「児童虐待防止法」の改正法が施行される際に
「2年程度以内に民法の規定も見直しましょう」
という附則(但し書き)がセットになっていました。

 

※一般的に児童虐待防止法(2000年制定)などの新しい法律は、
民法(1896年制定)などの“歴史のある法律”に比べ、
時代に合わせてスピーディーに見直す特徴があります。

 

そして、2022年2月9日に行われた法制審議会で
懲戒権の削除と体罰禁止を明記した改正民法案が提出されました。
年内を目途に国会内で審議が進められる見通しです。

 

法律が改正されれば、
今後国内で、法律上一切の体罰が許されないということになります。

 

蛇足ですが、
現在、世界で子の体罰を全面禁止している国は63か国あるようで、
日本は2019年の児童虐待防止法改正により59番目の国となりました。
世界で初めて子の体罰を法律で禁止したのは、スウェーデンです。
スウェーデンは、法改正後も啓発活動を積極的に実施し、
体罰の割合が大幅に減少したという結果が報告されています。
一方で、法改正を行わず啓発活動のみを実施している国では、
体罰の大幅な減少につながらなかったとの報告もあり、
法改正と啓発活動の両方を実施することが、最も効果が高いとされています。

 

2000年時点で11か国だった体罰全面禁止国は2010年代から急速に増加したように、
法律の見直しにも世界的なトレンドや流行があることがわかります。

 

*図表の出所:Save the Children(2021年時点)

 

グローバルな流れにも沿った改正といえます。
その時々の変化をキャッチし、職員への周知を徹底していきましょう。

 

◆ 神林 佑介 プロフィール ◆
人事コンサルティング部 副部長。2012年入社。保育園、そして老人ホームで働いた後、オーストラリアへ留学。帰国後、会計や経営コンサルティングの仕事は未経験ながら、コンサルという仕事への憧れ、そしてホームで働いた現場経験を活かせるのではないかという想いをもって、この世界へ飛び込んだ。以来、介護・福祉施設の経営コンサルタントとして主に法人開設支援などを行なっている。
© Kawahara Business Management Group.