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ブログ

保育所経営ブログ

VOL.51「児童福祉法の改正に関して」

2019.11.27

皆さん、こんにちは!

川原経営の神林です。

 

今年度は台風などの災害の関係で、

キャリアアップ研修の日程変更が各地で行われているようです。

私も先日担当した会場で、

講義中に携帯電話の緊急災害通報のアラームが一斉に鳴り響いて、びっくりしました。

そうしたなかでも、全15時間集中して講義に参加してくださる先生方には、

本当に感心させられるばかりです。

 

さて、前回は児童虐待防止法の改正について解説しました。

これと併せて児童福祉法施行令の一部も見直されました。

概要のリンクをご覧ください。

 

「児童虐待防止対策の強化を図るための児童福祉法等の一部を改正する法律の概要」

https://www8.cao.go.jp/shoushi/shinseido/meeting/kodomo_kosodate/k_43/pdf/s3.pdf

 

法律の改正時には、

関連する法律が連動するかたちで見直されることが一般的です。

 

児童福祉の関連法規には、児童福祉法を基本とし、

・児童福祉法施行令

・児童虐待防止法

・子ども・子育て支援法

・児童手当法

などがあります。

 

特に、今回の児童虐待防止法の改正にあっては、

「民法」の今後の見直しの動きに注目していく必要があります。

 

「民法」における体罰の禁止と懲戒権のあり方

 

前月の改正児童虐待防止法改正の解説でも触れましたが、

親権者や児童福祉施設の長は

「しつけに対して体罰を加えてはならない」こととなりました。

 

これに関連するのが民法の規定にある「懲戒権」です。

懲戒権とは「親権者が、子の非行に対する教育のために、

子の身体・精神に苦痛を加えるような懲罰手段」を指し、

子の非行に対しては教育目的の範囲内で、身体等に対する懲罰手段が認められています。

 

この点に関して、

今回の児童福祉法等の改正では、施行後2年以内に、

民法上の懲戒権の在り方について必要な措置を講じる

とし、引き続き審議されることとなっています。

 

関連する「一般法」と「特別法」に関心を寄せる

 

このように、複数の法律間において、

一部内容が矛盾するような規定は意外と多く存在します。

 

二つの法律の優先度に関して法律用語では、

「一般法と特別法」という形で区別します。

 

一般法とはより適用範囲の広い法律、

特別法は内容や適用範囲が限定される法律を指します。

 

児童福祉法<一般法> と 児童虐待防止法<特別法>

民法<一般法> と 児童福祉法<特別法>

上記のような関係性になります。

 

特別法は一般法に優先することが原則ですが、

一般法との内容の相違があまりに大きい規定は、無効となる場合があります。

 

このように法律の改正には、

関連する法律との調整も含め、時間を要するケースが多くあります。

 

とはいえ、虐待予防に関する内容は、

児童福祉の専門機関としてきちんと押さえておくべき事項ですので、

引き続き、動向を注視しましょう。

 

 

 

◆ 神林 佑介 プロフィール ◆
人事コンサルティング部 副部長。2012年入社。保育士・社会福祉士。保育園、そして老人ホームで働いた後、オーストラリアへ留学。帰国後、会計や経営コンサルティングの仕事は未経験ながら、コンサルという仕事への憧れ、そしてホームで働いた現場経験を活かせるのではないかという想いをもって、この世界へ飛び込んだ。以来、介護・福祉施設の経営コンサルタントとして主に法人開設支援などを行なっている。
© Kawahara Business Management Group.