医療機関・福祉施設の経営を総合的に支援するコンサルティング・グループ

ブログ

介護経営のエッセンス

【介護経営の勘どころ③】収益改善は機会損失を防ぐことから始まる

2026.03.24

 連載「介護経営の勘どころ」の第3回と第4回は、金沢が担当いたします(金沢プロフィールはこちら
 介護業界を取り巻く経営環境は年々厳しさを増しています。物価高騰や人件費の上昇などの影響により、介護事業の収支は補助金を除くと赤字傾向にあるという調査結果も示されています。
 こうした状況のなかで経営改善を考えると、「コスト削減」を優先にする場合があります。しかし介護事業は労働集約型産業であり、人員配置基準もあるため、人件費を大きく削減することは簡単ではありません。そのため、実際の介護経営では収益を確保するための視点がより重要になります。

稼働率と利用者単価が収益の土台になる

 収益確保を考えるうえで重要な指標として「稼働率」と「利用者1人当たり収入」があります。利用者1人当たり収入とは、事業収入を延べ利用者数で割ることで算出できるシンプルな指標ですが、施設の収益力を把握するうえで非常に有効です。
 この数値が指標より低い場合、多くの施設で「加算が十分に算定されていない」という要因が見られます。 
 加算の算定は利用者単価を上げる重要な要素です。
 また近年の介護老人福祉施設では、ベッド稼働率が95%前後に達していないと黒字経営が難しい傾向があります。稼働率の低下は、そのまま経営の機会損失につながります。
 例えば利用者が入院した場合、その期間は収益が発生しません。仮に1人が7日間入院した場合、約7万円の収益機会を失います。
 このような機会損失を減らすためには、単に現場の努力に任せるのではなく、また管理者のみで対応するのでもなく、組織としての対応が必要です。空床の原因別対策や、地域への情報発信、加算算定の見直しなど、現状に沿った複数の取り組みを組み合わせていくことが重要になります。

管理者の役割は、収益構造を見える化し、対策の方向性を示すこと

 介護経営の改善は、特別な経営手法から始まるわけではありません。まずはベッド稼働率、職員配置、利用者単価、加算算定状況などを整理し、「どこで機会損失をしているか」を把握することが第一歩です。
 施設管理者が方向性を示し、組織全体で改善に取り組むこと。それこそが、持続可能な介護経営を実現するための重要なポイントと言えるでしょう。

 

次回は、選ばれる施設と選ばれない施設―ニーズにマッチした伝え方についてお伝えします。

 

このブログ記事は、弊社のコンサルタントが月刊誌「WAM」に執筆した記事をもとに再構成しています。加算別算定率の一覧表や、ベッド稼働率低下の三大要因とその要因別対策など、さらに詳しく知りたい方はPDFの記事もご覧ください。
(PDF)経営改善の優先順位は収益確保が最優先

 

◆ 田中 律子 プロフィール ◆
2004年入社。以前のシステムエンジニアの経験より2000年に介護業界に関わったことをきっかけに、介護系事業所や介護請求システム会社を経由し、縁あって川原経営と出会い入社。福祉サービスに関する第三者現評価の業務を経て、現在は特別養護老人ホームや介護老人保健施設の戦略構想立案や経営改善、その他自治体からの研究受託などを行っている。医業経営コンサルタント資格保持者。

CONTACTお問い合わせ

ご相談・資料請求など、
メールフォームよりお気軽にご連絡ください。