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保育所経営ブログ

VOL.72「保育園における定年見直しの留意点③ ~選択的時短正社員制度~」

2021.11.16

皆さん、こんにちは!
川原経営の神林でございます。

過去2回にわたり解説してきました「定年の見直し」について、大きな反響がありました。そこで、今回“延長”させていただき、「時短正社員制度」について解説します。

 

前々回→VOL.70「保育園における定年見直しの留意点① ~勤務延長制度~」

前回 →VOL.71「保育園における定年見直しの留意点② ~役職定年・役職任期制~」

 

定年年齢を引き上げる際に、
まもなく60歳を迎える職員のなかには、
「60歳(定年)を迎えたらゆっくり仕事をしようと思っていたのに」
という方もいらっしゃるでしょう。

 

定年年齢の引き上げは原則一律で行われるため、
仕事のペースを落として勤務継続したい方は、
「一旦(自己都合)退職して、非常勤職員に切り替え」という流れが多いです。

 

しかし、それでは定年延長のメリット(正職員としての雇用期間の延長)が薄れてしまいます。

 

そこで、最近よくみられるのが、
高年齢職員を対象とした「選択的時短正社員制度」です。
この仕組みは、公務員の定年延長においても導入されることになっています。
保育園での設計のポイントは以下のとおりです。

 

① 勤務時間と待遇の設定

パートタイマーとの区別をするため、
時短正社員の勤務割合は常勤職員の8割ないし7割程度とする園がほとんどです。

 

いくつかのパターンを設定するケースも考えられますが、
シフト管理が複雑になってしまう点を考慮すると、
下記のように、いずれかに統一するのが良いでしょう。

 

・8時間×4日=32時間勤務(所定労働時間40時間)→80%
・6時間×5日=30時間勤務→75%

 

給与面での待遇は、
時短正社員に転換する前の水準の80%(ないし75%)とすることで、
合理的に給与額を変更します。

 

※ 退職金算定額を考慮し「月給は維持」して、
「賞与の引き下げ」により『年収を80%程度に引き下げる』方法が効果的です。
退職金の算定への影響については、法人の負担や他の職員との公平性の留意が必要です。ちなみに、独立行政法人福祉医療機構の退職手当金制度の場合、正社員であっても時短正社員であっても加入期間の算定に変更はありません。

 

 

② 時短正社員の選択時期と要件の設定

高年齢職員を対象とする時短正社員は「選択性」とすることが原則となります。
※ 「60歳以降は強制的に時短正社員で給与は80%」では問題があります。

 

この場合、以下のように選択可能な時期と要件を設定することも一案です。

 

【選択可能な時期】
・56歳以降、定年年齢までの間

【選択可能な要件】
・勤続10年以上

 

極端な事例だと、
「1年しか勤務していない職員が時短正社員を選ぶ」というのは、
「さすがに都合が良すぎるのでは?」
という考え方もあります。
そのような場合、上記のように要件を設けることは問題ありません。

これまで紹介してきたとおり、
定年年齢の引き上げは、単純な就業規則の変更ではありません。
整理すべき点は多岐にわたります。

 

ベテラン職員・若手職員・子どもや保護者・園の経営、
それぞれにメリットがある仕組みを考えていきましょう。

 


【ご案内】

「保育所向け!定年制の見直しと同一労働同一賃金への対応」

 支援内容、支援の期間、費用などの詳細はこちら(ご案内)をご確認ください。
 まずはご相談だけでも可能です!お気軽にお問い合わせください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆ 神林 佑介 プロフィール ◆
人事コンサルティング部 副部長。2012年入社。保育士・社会福祉士。保育園、そして老人ホームで働いた後、オーストラリアへ留学。帰国後、会計や経営コンサルティングの仕事は未経験ながら、コンサルという仕事への憧れ、そしてホームで働いた現場経験を活かせるのではないかという想いをもって、この世界へ飛び込んだ。以来、介護・福祉施設の経営コンサルタントとして主に法人開設支援などを行なっている。
© Kawahara Business Management Group.