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介護経営のエッセンス

【介護経営の勘どころ⑨】通所介護の経営改善は「利用率」「利用者単価」「費用管理」が鍵

2026.09.01

 連載「介護経営の勘どころ」の第9回と第10回は、金沢が担当いたします(金沢プロフィールはこちら)。

 介護経営においては、単純に利用者数を増やすことが収益改善につながるとは限りません。「利用率」「利用者単価」「費用管理」を一体的に捉え、バランスよく改善していく視点が重要です。今回は、通所介護の経営改善に向けたポイントを整理します。

利用率だけでは黒字化できない理由

 経営状況を確認する際、利用率を重要視するケースがあります。利用率は収益確保の土台となる重要な指標ですが、それだけで経営の良し悪しを判断することはできません。

 例えば、利用率が高くても利用者単価が低い場合や、手厚い職員配置により人件費率が高い場合には、十分な利益の確保が難しい場合があります。

 ここでいう利用者単価とは、利用者1人1日当たりのサービス活動収益のことです。利用者単価を決定する要素は次のとおりです。

  • 要介護度
  • サービス提供時間
  • 各種加算の算定状況

 しかし通所介護事業の経営においては、要介護度の構成やサービス提供時間が、業務の増大や人件費率の上昇へ繋がる場合があるため、単価上昇だけでなく、職員の体制など費用面への影響を考慮した精緻な計画が求められます。

「選ばれる理由」を発信する

 利用率向上のためには営業活動も欠かせません。しかし、居宅介護支援事業所への訪問やチラシ配布だけでは差別化が難しい地域もあります。施設の特色を伝え、第三者に自施設のサービス利用を具体的にイメージしてもらう取り組みが重要です。

 見学会に加え、近年はブログなどでの情報発信も活用されています。特に効果的なのは、レクリエーションの紹介にとどまらず、利用者の日常や継続的な取り組みをストーリーとして発信することです。

 地域やケアマネジャーに対して「この事業所ではどのような時間が過ごせるのか」を具体的に伝えられれば、事業所の特色が明確になり、新規利用につながる可能性が高まります。また、利用者の継続利用にもつながり、結果としてキャンセル率の低減も期待できます。

加算算定とケアの質向上を両立する

 経営改善では、適切な加算算定も重要なテーマです。ただし、加算を算定すること自体が目的ではありません。

 利用者の状態把握や個別支援の充実を通じてケアの質を高め、その結果として加算要件を満たしていくという考え方が求められます。近年は成果を重視する流れも強まっており、利用者の状態改善や生活機能の維持・向上を組織的に実践できる事業所ほど、経営面でも優位性を持ちやすくなっています。

まとめ

 通所介護の経営改善では、利用率の向上だけでなく、利用者単価の適正化、費用管理、そして地域から選ばれるための情報発信が重要です。介護経営を継続的に安定させるためには、数値管理とサービス品質向上を両立させる視点が欠かせません。介護経営のコンサルティングを行う場合も、収益面の改善だけでなくサービス品質や情報発信まで含めて取り組んでいる事業所ほど、安定した経営基盤の構築につながっています。

 

このブログ記事は、弊社のコンサルタントが月刊誌「WAM」に執筆した記事をもとに再構成しています。WAMの調査データをもとにした黒字事業所と赤字事業所の比較や、より具体的な改善のポイントについては、PDFの記事もぜひご覧ください。
(PDF)経営改善のポイント(通所介護)

 

◆ 田中 律子 プロフィール ◆
2004年入社。以前のシステムエンジニアの経験より2000年に介護業界に関わったことをきっかけに、介護系事業所や介護請求システム会社を経由し、縁あって川原経営と出会い入社。福祉サービスに関する第三者現評価の業務を経て、現在は特別養護老人ホームや介護老人保健施設の戦略構想立案や経営改善、その他自治体からの研究受託などを行っている。医業経営コンサルタント資格保持者。

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