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介護経営のエッセンス
【介護経営の勘どころ④】稼働率は「関係構築」で決まる——適切な情報発信が経営を守る
連載「介護経営の勘どころ」の第3回と第4回は、金沢が担当いたします(金沢プロフィールはこちら)。
介護施設の経営は、一見安定しているようで実はかなりシビアな構造になっています。厚生労働省の調査によると、特別養護老人ホームの利用者1人あたりの収入は約13,000円/日となっていますが、なんと、月の収支差額はわずか約2.8万円。つまり、空床が月に3日増えるだけで赤字に転落するという非常に厳しい構造になっています。
そのため、今回は、選ばれる施設になるために利用者やケアマネジャーの視点から、適切な情報発信についてご紹介します。
「選ばれる施設」になるための本質とは?
利用者の多くは居宅介護支援事業所等を通じて施設を紹介されます。しかし、日頃から紹介をもらっている事業所であっても、施設の強みを正しく理解したうえで紹介しているとは限らず、「紹介先が偏らないように紹介している」というケースは珍しくありません。
「選ばれる施設」になるためには、施設の利用料などだけではなく、利用者のニーズを理解して、それに基づいた施設サービスや事例、相談対応などを居宅介護支援事業所も含めた地域に情報発信を行い、施設の認知度を上げることが出発点となります。
ケアマネジャーとの信頼を築く3つのアクション
「この施設なら安心して紹介できる」と感じてもらい、施設の状況にあった利用者の紹介に繋げるには、次の3点が有効です。
- 入所後の様子をこまめに共有する:紹介を受けた利用者の入所後の状態変化や生活の様子を、口頭・文書・写真などで伝える。
- 施設の強みを「事例」で語る:例えば「認知症加算の算定をしている」と伝えるだけでなく、利用者との具体的な関わりや認知症状の軽減・ご家族の負担軽減につながった事例をセットで伝える。
- サービス提供時間帯のケアマネジャーによる見学:施設の雰囲気や職員の関わり方を感じてもらう。
ホームページの情報は「施設の約束」
70代でも6割超がインターネットを利用している現在、利用者が施設の紹介を受けて検討する際にウェブ検索するのも珍しいことではなくなっています。そのためサービス内容が古いまま更新されていないホームページは、信頼感の低下に繋がります。また、発信内容と実態が乖離すれば、利用者の不満やトラブルに発展するリスクもあります。情報発信の質を高めることが、介護施設の信頼感や経営に影響する時代です。
まとめ:経営改善は「伝え方」から始まる
介護経営の改善は、コスト削減や人員配置の見直しだけではありません。自施設の価値を正しく伝え、ケアマネジャーや利用希望者との「信頼関係という資産」を地道に育てることも重要な戦略です。まずは、自施設の強みが外部にどのように伝わっているかを見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。
次回は、人材不足の心理的要因―リーダーが仕事を抱え込む理由―についてお伝えします。
このブログ記事は、弊社のコンサルタントが月刊誌「WAM」に執筆した記事をもとに再構成しています。事業別利用者1人当たり収入や、利用希望者が必要とする情報の具体例など、さらに詳しく知りたい方はPDFの記事もご覧ください。
(PDF)選ばれる施設と選ばれない施設 ニーズにマッチした伝え方
- ◆ 田中 律子 プロフィール ◆
- 2004年入社。以前のシステムエンジニアの経験より2000年に介護業界に関わったことをきっかけに、介護系事業所や介護請求システム会社を経由し、縁あって川原経営と出会い入社。福祉サービスに関する第三者現評価の業務を経て、現在は特別養護老人ホームや介護老人保健施設の戦略構想立案や経営改善、その他自治体からの研究受託などを行っている。医業経営コンサルタント資格保持者。
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