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病院経営コンサルティング

事例研究 - 医療法人神甲会 隈病院 (兵庫県神戸市)

病院機能評価受審とその後の取り組み~
ITを活用し、世界レベルの甲状腺医療を提供する隈病院

 今回取材させていただいた隈病院は、1932年の開院当初から、甲状腺疾患を主とした外科病院として地域医療を担ってきました。「専門病院として最高の医療を均等に提供すること」を追求しながら、挑戦と革新を繰り返してきた隈病院。外来患者1日623名、手術件数年間1746(2018年度実績)そして臨床研究にも懸命に取り組んできた当院は、米国から甲状腺の第一人者が勉強に訪れるほど、日本国内に留まらず世界でも高いレベルの医療機関です。

 2019年に更新された病院機能評価では、機能種別「一般病床1」でS評価(秀でている)7項目、A評価(適切に行われている)71項目と高い評価を受け、さらに取り組みを維持すべく院内の研修体制を整えています。高評価を得た項目の具体的な内容と受審後の取り組みを隈理事長はじめ5名の方に話を伺いました。


法人概要
医療法人神甲会 隈病院

名 称:医療法人神甲会 隈病院
住 所:〒650-0011
    兵庫県神戸市中央区下山手通 8-2-35
開 院:1932年
病床数:58床(うちアイソトープ病床:2床)
理事長:隈夏樹(2代目)
院 長:宮内昭(3代目)
ホームページ:https://www.kuma-h.or.jp/

S評価を取得した項目の内、話を伺った項目

① 業務の質改善に継続的に取り組んでいる
② 来院した患者が円滑に診察を受けることができる
③ 診療記録を適切に記載している

病院機能評価受審の効果 職員のモチベーションとビジョンが明確に

隈 夏樹 理事長
隈 夏樹 理事長

隈理事長:機能評価を受審することで、管理職が気持ち新たにして、目標設定ができたと感じています。病院で働いていると、毎日の診療に追われてどうしても世の中の動きに気が付きづらく、そうなると、モチベーションを維持することも難しくなってきます。機能評価の受審のプロセスを経て、改めて当院の強みや課題を共有することができ、管理職の意識が変化していきました。当院の将来のことを自発的に考えてくれるようになりました。また、当院では数年内に増改築が発生するのですが、それに向けて、何をしていくか考えるきっかけにもなりました。


【S評価項目①】業務の質改善に継続的に取り組んでいる
業務改善コンテストを実施 職員のアイディアで残業時間減少

隈理事長:当院では、業務改善に積極的に取り組んでおり、そのためにも病院機能評価は2009年に取得し、今回3度目の更新です。院内でも職員が自主的に考えてほしいという思いから、毎年職員が業務改善の提案を行うコンテストを実施しています。例年30~50事例の応募があり、院長と役職者で審査します。昨年は医事課が提案した「レセプトの自動チェック化」が選ばれました。これにより、昨年まで院内で残業時間の多いTOP10に医事課の職員が7名入っていたのですが、システム化してからは一人も入っていません。優れた改善事例を表彰し、継続的に業務の質改善を支援していきます。

西澤 崇子 医事課課長
西澤 崇子 医事課課長

西澤医事課課長:従来は月初に電子カルテから一か月分のレセプトを出力し、レセプト点検ソフトでチェックをかけ、その結果を紙に印刷して、医事課からドクターに確認依頼していました。以前から診療情報管理科科長の工藤医師がレセプトの病名入力もれをチェックするツールを院内開発していたことから、これを各システムと連携できないかと検討が始まりました。そして、電子カルテのベンダには、月次で行うレセプト出力を日次に、点検ソフトのベンダには毎日点検させ、結果をCSV出力できないかと打診しました。両社の協力を得られ、夜間バッチ処理で双方を連携させて、毎日電子カルテに点検結果がリスト化される仕組みができました。甲状腺の疾病は月1~2回のみの受診の患者さんが多いので、当院の特徴とこのシステムが合っていたと思います。併せて点検業務のフローも大幅に見直し、残業時間が平均10時間以下になりました。

【S評価項目②】来院した患者が円滑に診察を受けることができる病院独自の患者呼び出し案内システム「ナビット」の有効活用

隈理事長:受付時に「ナビット」という端末をお渡ししています。患者さんの診療・採血・検査・会計などの流れを把握し、呼び出し案内をしています。従来は、検査の順番に患者さんを案内していましたが、このシステムの導入後は各種検査からの患者さんの呼び込みが可能になり、効率的に案内することができるようになりました。

毎月実施している患者さんアンケート結果では、「期待以上にスムーズだった、期待通り(の時間に終わった)」と回答した方が、全体の64%でした。


各種検査からの患者呼び込み
検査室待ち順番

S評価項目③:診療記録を適切に記載しているシステムを活用した良質な医療の実践が高く評価

隈理事長:当院では紹介状の自動作成や、紹介状の作成忘れを防ぐために診療記録のデータが管理されています。そのシステム作りが、結果として適切な診療記録として評価されました。工藤医師が自らソフトを作成し、試行錯誤しながらシステム化してくれました。受審日にも立ち会い、サーベイヤーに直接プレゼンをしたことで、取り組み内容が具体的に伝わったと感じています。

動作負担の軽減を目指して工藤医師自らソフトを作成

工藤 工 診療情報管理科科長
工藤 工 診療情報管理科科長

工藤医師:診療データウェアハウス(以下DWH)を利用し、超音波・病理レポートの結果を紹介状に反映したのがきっかけです。そこから紹介状の下書きを自動で生成する仕組みを構築しました。当初は、宛先の管理が別システムで、コピーして貼り付ける必要があり、貼り間違いなどが存在しました。そこで、受け取った紹介状のスキャン時に直接、DWHに情報を入力するように変更し、返書の記載時にはDWHから宛先を読み込むことで、記載者が意識せずに受取と返書の紐付けを行う仕組みにしました。その結果、返書のもれを抽出することが可能になり、医師ごとに通知する仕組みを電子カルテ上に加えました。医師ごとに伝える流れができたので、電子カルテから、指示とオーダーの不一致、検査の重複、病名の入力漏れ、入院サマリ、入院時所見、手術レポートの未記載など、医師のチェックが必要なものを、同様の仕組みの中でリストにしました。今回、その仕組みが評価されましたが、実際に、早くリストが出来上がるため、医師は空き時間に作業ができるようになり、事務員のチェックも簡単になり、互いにストレスが減りました。

 また、当院では、電子カルテのデータを後利用できるように、2005年の電子カルテ導入時から、診療はすべてテンプレートを使用し入力しています。その結果、記載箇所が統一され情報の収集が可能となっていますので、医師の診察内容を一つのシートに集約し表示するようにしました。これを利用し、新人医師や非常勤医師のすべての初診カルテをベテラン医師がチェックする体制を構築したことが、診療の質的な監査として高い評価を得ました。 今回、評価項目がありませんが、電子カルテに特化したRPAを使用しています。患者の呼込みから、検査の印刷、超音波・病理レポート、CT・レントゲン画像の表示し、再診・初診用のテンプレートを開く診察時の一連の操作をボタン一つで実施します。これは、医師の負担軽減とともに、結果の見逃し防止に役立っています。

専門技術に加えて業務標準化を意識することによる意識改革

新田 早苗 看護本部長 認定看護管理者
新田 早苗 看護本部長 認定看護管理者

新田看護本部長:専門病院としてのネームバリューや高い医療技術があるという点に頼ってしまい、医療機関が本来もっていなければならない基本的な部分がおろそかになっていました。職員たちは入職後に改めて学ぶ機会がなく、結果、病院独自のルールができていました。川原経営のコンサルタントに相談しながら、職員たちには業務を標準化していくことに意味があると伝えました。病院機能評価の受審により自発的な意識改革をすることに繋がったと感じています。

全部門の調整役としてコンサルタントを有効活用

隈理事長:川原経営のコンサルタントには、効率的に支援していただき、安心して任せることができました。スケジュール管理や、各部署が主体的に取り組めるように、職員たちがやらなくてはいけないことの理解を深めてくれました。コンサルタントの訪問日には職員たちが待ち構えていて、そのくらい各部署と密接に関わり、コミュニケーションをとってくれていたのだと感じました。院内で全て調整するのは不可能だったのではと思っています。

機能評価受審後の取り組み 接遇研修の導入で多職種のコミュニケーションが活発に

隈理事長:前回の機能評価受審結果(2014年)から、接遇研修の必要性を感じ企画が進んでいました。当院は全国から患者さんが来院します。治療の説明や情報共有する際に、接遇やコミュニケーションスキルはかかせません。川原経営に講師を依頼し、今年で2年目になります。問題意識を共有するきっかけになり、部署内だけでなく、多職種でのコミュニケーションが活発になったと感じています。

木村 操 外来看護科長
木村 操 外来看護科長

木村外来看護科長:研修では、部署ごとにロールプレイングを行っています。打ち合わせは3か月前から始まり、川原経営の接遇インストラクターの後藤さんと各部署長とで課題を共有し、研修当日はケース(5~6事例)を参加者で話し合い、ロールプレイングで発表します。より具体的な(自分たちが困った)ケースを設定することで、研修の必要性を感じてもらえるように工夫しています。研修には他部署職員の参加も推奨しているため、参加者が30名程度になることもあります。お互いの業務内容を知り業務改善につなげる、いい機会であり、コミュニケーションの場にもなっています。外部の講師に来ていただくことで院内だけ常識にとらわれていないか(世間とのずれがないか)を確認・修正することができ、院内の多職種間とのコミュニケーションを含めた業務調整なども考えることができました。

さらに改善に取り組み、隈病院の良さを外部へ発信していく

隈理事長:これからも当院の理念に沿って医療を提供していく中で、自院で改善していく力をつけていきたいと考えています。例えば、ISOのような仕組みです。自院で基本的な力をつければ、それを広めていくことができます。また、最近病院の広報(特に採用関連)の見直しに力を入れています。良いところはしっかりと外部に発信していくことが重要だと考えています。自分たちで改善して、外部に取り組みを知ってもらうことで、いい循環が生まれます。そこから、総合的に隈病院のファンを増やしていきたいと考えています。

広報活動

広報活動

YouTubeやInstagramのアカウントを開設し、患者さん向けに病気の情報を発信している。
動画はCGを使用することで、親しみのあるデザインにしている

YouTubeチャンネル:医療法人 神甲会 隈病院 Kuma Hospital

取材日 2020年1月30日

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