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医療機関・福祉施設でのコミュニケーション向上委員会ブログ

Vol.26「『温もりのある言葉』のつくりかた」

2021.03.30

お知らせ 2021/12/22
当ブログ筆者の久保田真紀によるAmazonkindle書籍が発刊されました(税別:1,000円)

Amazonサイト: 「福祉・医療の現場のコミュニケーション向上委員会 Kindle版

 

当社のホームページを管理する部署から、
「2019年12月に投稿したブログのアクセス件数が増えている」
(今どきの言葉でいうと「バズる」というのでしょうか)と伺いました。

 

それは、Vol.11「一年の締めくくりは「温もりのある言葉」で」というブログ。

 

一年も経っているこのブログが、今、多くの支持をいただけているのはなぜだろうと考えました。
いきついた答えは「コロナ禍」。

 

生活様式の転換はもとより、人と人とのつながりをも変えることを余儀なくされている状況にあって、
多くの方が「温もりのある言葉」というキーワードに関心をもってくださったのだと感じています。

 

今回は、読者の皆様に感謝しつつ、この「温もりのある言葉」について、もう少し掘り下げて考えてみたいと思います。

 

 

1.温もりのある言葉は胸がキュンキュンする

 
以前、大手電機メーカーがちょっと変わった実験をしました。

 

それは、「家族から『愛の言葉』を直接受け取った時、人の体温にどんな変化が起きるのか」というもの。
「愛の言葉」と称していますが、実験では愛の言葉だけでなく感謝の気持ちなども言葉にして伝えています。

 

結果はどうだったかといいますと、家族から愛を言葉で伝えられた被験者の体温は、平均約0.8度も上昇。
中には1.2度上昇した人もいたそうです。

 

専門家が、「愛の言葉で副交感神経が活性化し、体温が上昇することが明らかになった」とコメントされているように、愛の言葉が人の心だけでなく、体も暖めることが科学的に明らかになったという訳です。

 

体温の上昇は免疫力をアップさせますので、心身の疲労回復やリラックス効果をもたらすようです。
感謝の気持ちや愛の言葉を贈られた時、胸がキュンキュンするのは、感覚的な問題だけではなかったのですね。

 

言葉を伝えられた時に「体温が変化した」という点においても、「愛の言葉」は、今回のテーマである「温もりのある言葉」と同じものであると捉えてよいと思います。

 

 

2.「再現した感覚」が言葉に温もりを生じさせる

 
言葉から生まれる良い効果を、職場内のコミュニケーションに活かさない手はない!

 

「愛している」や「大好き」などは、誤解されてしまう可能性もあるので、職場ではなかなか使いづらいですが、「ありがとう」や「ご苦労様」「助かります」などの、感謝の言葉なら意識的に使うことはできるはずです。

 

しかしながら、ここまで読んだ方は、きっとこう言うと思います。
「こうした言葉なら、いつもちゃんと言っている(伝えている)」

 

・・・至極ごもっともなお言葉だと思います。
しかし、大事なのはその言葉に「再現した感覚」をのせていたかという点です。

 

例えば、「手伝ってくれてありがとう」という言葉を伝える時。
「助かった」「力になってくれた」など、「手伝った」という事実に対する感謝の気持ちを伝えている方は多いと思います。

 

そこに、「再現した感覚」をのせることで、言葉にぐっと温もりが生まれます。

 

「再現した感覚をのせる」とは、自分の過去の経験(「ありがとう」と言われて嬉しかった気持ち)を、思い起しながら、言葉を伝えていくと考えていただければよいでしょう(図)。
 

 

 

「温もりのある言葉」を作り出すには、さまざまな「感覚」を自分の中に蓄えていくことが大切になってきます。

 

楽しいや嬉しいという感覚だけではなく、
辛いや苦しい、悲しい感覚も、恐れずに蓄えていかなければいけないと思います。
ネガティブな感覚を知っていればいるほど、ポジティブな感覚の有難さや大切さを知ることにつながるからです。

 

物理的な距離を取ることを強いられている今。
心の距離だけは常に近くにあるよう、一人ひとりが心に灯をともし、温かい言葉を贈りあえるようにしていきたいものです。

 

 

© Kawahara Business Management Group.