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保育所経営ブログ
VOL.62「限定正職員制度の活用について考える②」
皆さん、こんにちは!
川原経営の神林です。
前回は、「“正職員同士”で異なる職務範囲や勤務条件などが発生している場合、どのように待遇を整理すべきか」
という点を解説し、保育園における「限定正職員制度」のメリットについてご紹介いたしました。
限定正職員の定義は、園の職員の状況や働き方によって異なりますし、
どの程度の待遇差を設けるかなど、
具体的なルールは園で検討していく必要があります。
今回は、この制度を導入する際のポイントについてご紹介します。
①限定正職員の勤務範囲を定める
まず、正職員と区分する上での「勤務制限の内容」を定めます。
保育園における限定正職員の区分事由には、以下のような事例があります。
〇他園への異動がない
〇早番・遅番・休日保育の出勤がない
限定正職員制度は、本人が働き方を選択できる点がメリットの一つです。
そのため「保育士資格を持っていない」「経験がない」などの事由は、
本人に選択の余地がないため、区分事由に設けることは不適当と言えます。
②正職員との待遇差を定める
限定正職員は、正職員に比べて勤務内容が限定的であるため、
「その範囲に応じて」待遇差を設けます。
以下は待遇差の一例となります。
〇基本給の昇給率 :標準昇給率-0.5%
〇基本給の昇給号俸:標準昇給号俸数-1号俸
〇賞与基準月数 :標準賞与月数-1.0ヶ月
〇退職金支給率 :標準係数-1.0ポイント
「どの程度の待遇差が妥当か」という点が、最も難しい検討事項となります。
勤務制限があること以外は、同様の職務を行うという前提において、
極端な格差(賞与なし、昇給なし等)は不合理と言えます。
正職員が実際に早番や遅番に入る時間が、
月間総労働時間に対してどの程度あるのかを検証するなどし、
一定の根拠に基づいた設定が重要です。
③導入の際の留意点
制度の枠組みを検討した後、すぐに導入するのではなく、実際にこのような制度が導入されたら希望するか、事前に職員にヒアリングやアンケートを行います。
万が一、想定以上の希望があった場合、シフトを組めなくなったり、園の運営に支障が出てしまう可能性があります。
そのような場合には「定員枠」を設ける必要があるため、事前に意向調査を行うとともに、希望が多かった場合の選定基準を検討します。
選定基準の一例
- 自身の傷病・体調を理由とする場合
- 子の育児を理由とする場合
- 親の介護を理由とする場合
- その他、自身の都合・意向を理由とする場合
(※優先順位が高い順)
なお、この制度は本人の申告に基づくことが前提ですので、
園側が人件費を抑制するなどの目的で、
一方的に限定正職員への変更を命じることはできません。
(※労働条件の不利益変更に該当し、本人の合意が必要となります)
導入にあたっては整理すべき事項や事前の準備が不可欠です。
ご検討されている園がございましたら、ぜひご相談ください。

- ◆ 神林 佑介 プロフィール ◆
- 人事コンサルティング部 部長。保育園、老人ホームで働いた後、オーストラリアへ留学。施設での経験を活かしたいという想いをもって2012年に川原経営に入社。保育所・介護施設等を運営する社会福祉法人の給与・人事考課・研修の制度構築支援に従事。その他社会福祉法人の設立・合併・事業譲渡支援など、医療・福祉経営に関する幅広いコンサルティングを行っている。
保有資格:行政書士・保育士・社会福祉士
著書:「地域に選ばれる特別養護老人ホームの作り方」「介護ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本」
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