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ブログ

保育所経営ブログ

VOL.61「限定正職員制度の活用について考える①」

2020.11.17

皆さん、こんにちは!

川原経営の神林です。

 

だいぶ肌寒くなってきました。

インフルエンザなどの感染症予防に努めつつ、

少しずつ来期を見据えた準備をし始める時期かと思います。

 

さて、新型コロナウイルス感染症の話題で陰に隠れてしまいがちですが、

「同一労働同一賃金」の対応に向けた準備は進んでいますでしょうか。

大企業については、今年度より順次義務化されており、

来年4月からは中小企業を含めたすべての事業所が対象となります。

もちろん、保育園も対象です。

 

同一労働同一賃金は、

正規職員と非正規職員との間の不合理な待遇格差の是正を目的とするものです。

根拠法となる法律(「パートタイム・有期雇用労働法」)が施行されてから、

さまざまな裁判例が出てきており、

どの項目(基本給、手当、賞与、退職金など)をどの水準まで見直さなければならないのか、少しずつ明確になりつつあります。

 

さて、今回取り上げるのは、

「“正職員同士”で異なる職務範囲や勤務条件などが発生している場合、どのように待遇を整理すべきか」

という点について解説します。

 

保育園でよくみられる待遇差と対応

 

保育園でよくみられるのは、

・他の保育園に異動ができる人と、そうでない人がいる

・早番・遅番に入ることができる人と、そうでない人がいる

・土日祝日に勤務できる人と、そうでない人がいる

などのケースです。

 

こうした待遇の差を改善していくためによくみられるのは、

「〇〇手当」というかたちで、月々の給与に差を設けるという方法だと思います。

 

最近ではこの他に、

「限定正職員制度」を導入している園があります。

「限定正職員」とは、上記のケースのような「一部の勤務制限がある正規職員」を指します。

 

一般の正職員と限定正職員において職務範囲や勤務条件を区別し、

それに見合った待遇(基本給・昇給・賞与・昇格など)を整理した制度です。

 

限定正職員制度のメリット

 

限定正職員制度を導入するメリットとして、

・自園への貢献度(広範な業務内容や変則勤務など)に応じて、待遇のメリハリをつけることができる

・職員の働き方の選択肢が増える

・一定の勤務制限(平日の日勤しか勤務できない等)があっても正規職員とし

 て働くことができる

・適正な人件費を維持管理することができる

などがあげられます。

 

勤務制限があることを理由に、

“感覚的に”待遇差を設けてしまっている場合、

職員の不満や不信につながるリスクがあります。

 

こうした制度を設けることでルールを明確にするとともに、

職員への周知、理解、納得を得て運用していくことが、

個々の職員の状況に応じた働きやすい職場づくりにつながっていきます。

 

限定正職員の定義は、園の職員の状況や働き方によって異なりますし、

どの程度の待遇差を設けるかなど、

具体的なルールは園で検討していく必要があります。

 

次回は、この制度を導入する際のポイントについてご紹介します。

 

◆ 神林 佑介 プロフィール ◆
人事コンサルティング部 副部長。2012年入社。保育士・社会福祉士。保育園、そして老人ホームで働いた後、オーストラリアへ留学。帰国後、会計や経営コンサルティングの仕事は未経験ながら、コンサルという仕事への憧れ、そしてホームで働いた現場経験を活かせるのではないかという想いをもって、この世界へ飛び込んだ。以来、介護・福祉施設の経営コンサルタントとして主に法人開設支援などを行なっている。
© Kawahara Business Management Group.