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◆ブログ◆川原経営 人事労務研究室 vol.4
皆さんこんにちは。川原経営の薄井です。
前回に引き続き、「働き方改革関連法について ~実務対応編② 年次有給休暇の取得義務化~」です。
今回の法改正に伴い、法律で定められている年次有給休暇(以下、有給)について、年間で10日以上付与される職員に対して、毎年5日分は使用者側から時季を指定するなどして取得させることが義務付けられます(法人や施設全体の平均での5日ではなく、職員一人一人に5日以上取得させることが求められます)。
厚生労働省の調べ(平成29年就労条件総合調査)によると、全産業の有給取得率は49.4%、医療・福祉業界は52.5%と全産業平均を上回っています。しかし、この業界の特徴として、職員によって取得率に差がある、つまりたくさん取得する人と全くとらない人がいることが挙げられます。そのため、過去の取得率の低い職員は個別に対応する必要があります。
図表1をご確認下さい。
現行(左側・施行前)は、職員自らが有給取得の申し出をした場合です。改正内容(右側・施行後)は使用者側から職員に時季の希望を聴取し、それを踏まえて時季を指定する必要があります。ただし、現行の通り職員自らが申し出た日数がある場合は、その日数を5日から引いた日数が使用者側に義務付けられる日数です。(図表1内赤枠参照)
有給は常勤職員(週の所定労働時間数が30時間以上の場合)のみならず、非常勤職員にも付与されます(図表2)。非常勤職員も継続勤務期間が一定程度以上になると年10日以上の有給が付与されるため、年間5日以上使用者側が取得させなければいけません。
さらに今後は「年次有給休暇管理簿」を作成し、個人別に有給の付与日数や取得日数を管理することが義務付けられる予定です。とはいえ社会福祉法人などでは、法定の年次有給休暇の他に、夏季休暇や慶弔休暇を有給として付与している場合も多いため、有給の取得率を高めることは簡単ではありません。また、法定の有給は職員に与えられた権利で時季を変更することができますが、取得そのものを拒否することはできません。年度末に取得する人が殺到して人員配置基準を満たせないことなどがないように、1年間の中で計画的に取得を促すことが重要です。
有給は労使協定を締結することで、5日分(1日の所定労働時間×5日分。1日所定労働時間が7.5時間の場合は37.5時間分)を上限として時間単位で付与することが認められています。子の看護休暇などを始業時間(又は終業時間)から逆算して時間単位で取得することができれば、有給の取得率向上につながり、ワークライフバランスの充実を図ることができます。
職員が有給を取得しやすい仕組み作り、組織風土の醸成を心がけることが大切ではないでしょうか。
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