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介護経営のエッセンス

【介護経営の勘どころ②】稼働率が伸びない本当の理由 ―「動く組織」への転換が改善の第一歩

2026.02.24

 近年、介護経営に関するご相談で特に多いのが、「稼働率が上がらない」「職員不足で現場が回らない」といった声です。しかし、実際には単なる人手不足ではなく、組織として“動けていない”ことが経営不振の根本原因となっているケースが少なくありません。

問題意識が成果に至らない「動かない組織」

 介護事業はこれまで、現場の裁量や経験に支えられ、何とか回ってきた側面がありました。その結果、指揮命令や役割分担が曖昧なまま運営が続いている事業所も多く見受けられます。しかし、環境変化が激しい現在においては、従来型の現場任せ経営では限界があります。
 稼働率が低迷している事業所に共通して見られるのは、次のような状態です。

  • 目標が抽象的で、職員に具体的な行動として落とし込まれていない
  • 役職者が判断・調整役として機能しきれていない

 このような状況では、現場の努力が成果につながらず、疲弊感だけが蓄積されてしまいます。

数値目標と役割の明確化が組織を動かす

 介護経営の改善において重要なのは、まず現状を数字で把握し、達成すべき目標を具体化することです。稼働率を何%まで引き上げるのか。そのために必要な利用者数や問い合わせ件数はいくつか。
 さらに、達成時期を明確にすることで、現場の行動にスピードと優先順位が生まれます。
 具体的には、

  • 月ごとの稼働率目標を設定する
  • 目標達成のために「誰が・何をするのか」を明確にする

 といった整理が欠かせません。
 こうした数値目標と役割分担が示されて初めて、職員一人ひとりの行動が「自分ごと」となります。改善に賛同する協力者を増やし、行動する職員を役職者の声掛けでねぎらいながら、組織全体に変化を広げていくことが重要です。
 介護コンサルティングの現場では、経営層と現場をつなぎ、「決めて、動き、振り返る」仕組みづくりを重視しています。経営者や役職者が判断し、行動する職員を支援する体制が整えば、組織は確実に変わります。組織が動き始めれば、結果は必ず数字に表れます。
 経営改善の第一歩は、現場を責めることではなく、組織として動ける状態をつくることにあるのです。

 

まとめ:介護経営は「現場を巻き込む組織化」が鍵

 介護経営の改善は、短期的な対症療法ではなく、組織のあり方そのものを見直す取り組みです。稼働率低下や職員不足の背景にある「動けない構造」に目を向け、経営と現場が同じ方向を向くことが、安定経営への近道となります。

 

次回は、稼働率向上と加算算定の見直しを具体的にどう進めるか―収益改善の打ち手についてお伝えします。

 

このブログ記事は、弊社のコンサルタントが月刊誌「WAM」に執筆した記事をもとに再構成しています。元の記事では、目標達成に向けて動けずに反発する職員への対応や、稼働率向上のための数値目標算出など、「動く組織」へ転換させる取り組みを詳しく紹介しています。ぜひPDFの記事もご覧ください。
(PDF)よくある窮境要因と改善策(組織化の重視)~動く組織と動かない組織があり、現場を巻き込むことが重要~

 

◆ 田中 律子 プロフィール ◆
2004年入社。以前のシステムエンジニアの経験より2000年に介護業界に関わったことをきっかけに、介護系事業所や介護請求システム会社を経由し、縁あって川原経営と出会い入社。福祉サービスに関する第三者現評価の業務を経て、現在は特別養護老人ホームや介護老人保健施設の戦略構想立案や経営改善、その他自治体からの研究受託などを行っている。医業経営コンサルタント資格保持者。

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