ブログ
医療が活きる、介護が活きる、つながりヒント
Vol.9 病院「理念」に立ち返ろう
皆さま、こんにちは。
川原経営総合センターの遠藤です。
本年1月1日に発生しました令和6年能登半島地震で被災された皆様にお見舞い申し上げます。被災地の皆様の安全と、一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
本年最初の号は、改めて病院理念について考えてみたいと思います。病院機能評価の審査でも問われる「理念」。どの病院も理念を掲げていますが、皆さまはご自身の病院の理念は理解されていますか?もう少し踏み込んで、ご自身の部署の業務に落としこんでいますか?
理念の背景が分かると病院が分かる
一見するとどの法人様も言葉としては似たような理念を掲げているように見えることがあります。私は、ちょっとした差やニュアンスが、その病院の個性だと思っています。
ある回復期リハビリテーション病棟があるお客様で目標管理の議論していたときのことです。平均的なリハビリ病院と比較すると、提供単位数が思うように増えずにいました。そこで業務フローを分析してみると、職員間のコミュニケーションは良好なものの、それぞれの職種の業務の遂行する縦のラインに意識が向いており、横のラインの最適化ができていない実態になっていました。
私はそこで、「この病院の成り立ちは何ですか?」と皆さんに問いかけてみました。もともと、患者さんを“社会復帰させる病院”という想いをもって先代理事長が開院されており、いまの理事長も先代の想いを大切にされています。“やはり暮らしの場である地域にお帰しするのが大事ですよね”。業務の遂行中心の病棟運営ではなく、理念や歴史を踏まえた回復期リハ病棟の運営ができていないのはおかしくないかという話になりました。
「地域に帰す」ためには、患者さんのご自宅での生活まで見届けて、退院後にその方らしい暮らしを送っていただく必要があります。
議論の末、まずは第一優先事項としてリハビリテーションの実施ができるよう、多職種でスケジュールが可視化できるようにし、病棟に協力してもらうことになりました。例えば、入浴や画像検査の時間を変更するなどです。
迷子になったら、原点に戻ろう
答えは皆さんの中にあるのですが、ご自身ではなかなか気づかないところもあります。私たちコンサルタントは、これをいかに引き出すかということを意識しています。他院の事例(経験)を参考にすることはもちろん大事ですが、「私たちとしてどうするか?」が原点です。また、理念に立ち返ることで、職種ごと、部署ごとに対立構造になってしまいかねない問題も、より上の視点から議論することができます。
普段の診療と理念にずれがあっても、診療報酬という制度上、病院としては成り立つことができます。しかし、その状態を放置すると、職員の帰属意識が下がり、結果として患者さんにもご満足いただけなくなってしまいます。
2024年が始まるにあたって、改めて自院の経営理念を見直し、普段の業務が理念とずれていないか、考えてみられてはいかがでしょうか。