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医療が活きる、介護が活きる、つながりヒント
VOL.5「レスパイト入院を円滑な運用にするためのポイント」
皆さま、こんにちは。
川原経営総合センターの遠藤です。
ここ数年、新型コロナウイルス感染症の影響でレスパイト入院を制限せざるを得ない状況がありました。
「(要介護の)家族がコロナに罹患したため、、レスパイト入院は可能か?」という問い合わせがあり苦労された病院もあったのではないでしょうか。
さて、5月8日に新型コロナが5類感染症に移行したことで、従前どおりの受入れに戻す病院が多くなりました。そこで今回は、改めてレスパイト入院を円滑に進めるためのポイントをご紹介します。
レスパイト入院受入れの難しい点は、病院ごとに対応できる対象患者や入院期間などが異なるため、レスパイト入院を申し込まれる関係者(かかりつけ医、ケアマネジャー、訪問看護師)には実情が伝わりにくく、利用しづらい印象を持たれかねないことです。
自院の受け入れ方針が伝わりにくい要因
大きく2つに分けることができます。
①申込者、主にケアマネや訪問看護師の理解
多くの病院では、レスパイト入院を、病床や人員体制に余力があれば提供できる介護者支援と位置づけています。しかし、特に介護職には、ショートステイと似た仕組みとして理解されていることもあります。
緊急ショートステイと同じように利用できるというイメージがあり、緊急時の相談を受けることもあります。
②ご本人・ご家族の理解
病院はレスパイト入院の規定を文章化していても、介護職と利用する本人・家族とのやりとりは口頭の場合も多く、きちんと伝わらないことがあります。
レスパイト入院を正しく理解してもらう工夫
1.自院のスタンスの明確化と周知
次のような項目について自院のスタンスを明確にし、ホームページやパンフレットに掲載されてはいかがでしょう。
〇受け入れまでの流れ
1、患者さん・ご家族からかかりつけ医・ケアマネ等への希望を伝える(病院によっては直接申込も可)
2、かかりつけ医等から申込み受付
3、院内で受入れの可否の検討
4、入院検討結果の回答
5、入院日の調整
〇よくある質問・注意事項
ご希望があっても受け入れが難しい事例などは、あらかじめよくある質問などとして掲載しておくと、
柔らかく伝えることができます。
・空床があっても受入れできない場合があること
・緊急利用は難しいこと
・その他、対応に苦慮したケースがあれば具体的に記載
2.対応方法の統一・担当者の一元化
個別性のある相談に画一性を求めることには違和感を持つ職員がいるかもしれませんが、逆にその時によって対応が異なると申込者や患者さん・ご家族の不信感につながります。
地域包括ケアシステムへの貢献の一環としてレスパイト入院に取り組んでいるのに、「困っているのに助けてくれない。」と思わぬところで病院がマイナスの評価を受けないためにも、関係者に改めて自院のスタンスをご理解いただき、期待値を上げすぎないことで円滑な運営が可能になります。
ぜひ一度自院の運営体制をご確認されてみてください。

- ◆ 遠藤 愛 プロフィール ◆
- 病院コンサルティング部所属。社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士。一般企業の営業職から訪問介護事業所での勤務を経て、二次救急病院(一般病棟・地域包括ケア病棟)の医療ソーシャルワーカーになる。様々な支援に関わるやりがいを感じながらも、「患者さん・家族の支援には病院の体制が重要」と痛感し病院経営支援の道を志した。現在は病院運営全般支援業務、病院機能評価受審支援を主に業務を行っている。
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