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ブログ

医療が活きる、介護が活きる、つながりヒント

Vol.4「病介連携の経営的効用」

2023.06.20

こんにちは。

川原経営総合センターの遠藤です。

 

今回は、介護側からの患者紹介の可能性についてお伝えしたいと思います。

 

病院への要望をチャンスととらえる

 

以前私がケアマネジャーの勉強会でお話させていただいた際に、「病院との連携が上手くいかないことが多くて困っている。」というご質問を受けました。

 

例えば、「ヘルパーが訪問したところ、利用者さんがいつもと歩き方が違う。

ケアマネジャーが同伴するので病院への到着が受付時間を過ぎるが、受診が可能かどうか」と連絡した場合。

イレギュラーであることを承知の上であるにもかかわらず、病院が積極的に対応してくれる感じがなく困惑してしまう、などです。

 

この話を伺い、ケアマネジャーさんの普段のご苦労を垣間見るようでした。

私は、ケアマネジャーが病院との連携を求めていて、病院にとって利用者さんを紹介してくれるチャンスが隠された質問だと思いました。

 

利用者・家族の介護職への信頼度は大きいという実態

 

在宅系・施設系サービスを問わず、介護職はケアマネジャーを中心に、利用者さんと家族と「これから」を話し合いながら、個別性のある日常生活支援を展開しているからこその信頼関係を構築しています。

利用者さん宅の“冷蔵庫の中身まで知る仲”と言われたりもします。

 

そのため、かかりつけ医以外の医療機関を選ぶ際のアドバイザーとして、大きな役割を果たすことが多くあります。

 

利用者さんができる限り住み慣れた地域で暮らし続けてもらうためにも、介護職にとって医療機関との連携のしやすさは重要です。その視点で医療機関を判断して利用者さんや家族に提案しています。

 

無意識に「連携」に差をつけていませんか?

 

「病介連携」は介護側からの診療情報提供書の発行がないので見えにくいのですが、介護職が紹介元となることへの期待値は高いと思われます。

実際、居宅介護支援事業所など介護事業所への営業訪問を行っている病院も増えています。

 

第3回「介護施設の職員の視点で情報提供していますか?」のように、介護職の状況を考慮した対応も効果があるでしょう。

 

また、ケアマネジャーなどから突発的な依頼があった際に、医療機関からの依頼と同様の迅速な対応ができていますか?医療と介護で無意識に対応への熱量に差がついていないでしょうか?

ちなみに、介護現場では日常的に多職種・複数の事業所が顔を合わせながら連携していますので、口コミの影響力は大きいのです。介護職からの問い合わせに真摯に対応することは、後々に大きなメリットになってかえってくるでしょう。

 

一方で、病院側の事情が考慮してほしい場合は、冒頭にあるような「連携しづらい」印象を持たれないように事情を丁寧に説明し、お互い疲弊せず友好的な連携ができるようにしていきたいものです。

 

 

 

◆ 遠藤 愛 プロフィール ◆
病院コンサルティング部所属。社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士。一般企業の営業職から訪問介護事業所での勤務を経て、二次救急病院(一般病棟・地域包括ケア病棟)の医療ソーシャルワーカーになる。様々な支援に関わるやりがいを感じながらも、「患者さん・家族の支援には病院の体制が重要」と痛感し病院経営支援の道を志した。現在は病院運営全般支援業務、病院機能評価受審支援を主に業務を行っている。
© Kawahara Business Management Group.