医療機関・福祉施設の経営を総合的に支援するコンサルティング・グループ

創立50周年記念 お問い合わせ Twitter
  • 文字の大きさ
  • 標準

ブログ

人事労務研究室ブログ

vol.23「新設された看護職員処遇改善評価料とは?①」

2022.08.29

皆さんこんにちは。川原経営の薄井です。
久しぶりの投稿になってしまいました。

 

川原経営グループでは、6月に行政書士法人および社会保険労務士法人が設立され、グループ全体における業務の領域が拡大されました。

私自身、社会保険労務士法人の代表社員を務めることになり、ここ半年間は設立準備等で忙しくさせていただいておりました。

ありがたいことに法人設立後は、多くのお客様から業務のご依頼をいただいており、引き続き、人事・労務に関するご支援をしていきたいと考えております。

 

さて、本ブログでは今回も、目まぐるしく変わる経営環境の中で、お客様から寄せられる人事・労務に関するご質問をQ&A方式で解説いたします。

 

≪今回の相談≫

2022年10月より、看護職員の処遇改善を目的とした診療報酬上の仕組みが創設されると聞きました。この診療報酬は、どの医療機関でも算定できるのか、また看護師以外の職種にも配分することができるのか教えてください。

 

≪回答≫

ご質問ありがとうございます。
今回は、8月10日に中央社会保険医療協議会・総会にて答申された、「看護職員処遇改善評価料(以下、評価料)」について、本稿を含め3回にわたり解説します。

 

この評価料は、地域においてコロナ医療・救急医療を担っている医療機関を念頭に、一定の要件を満たす医療機関にて、勤務する看護職員等の処遇を改善することを目的に新設されたものです。通常の加算等と異なり、算定した分の評価料の全額を対象となる職員へ支給する必要があります。

介護報酬等では、処遇改善加算等の名称で運用されていますが、今回は“医療版”が創設されました。

 

今回は、ご質問にある「算定できる医療機関、評価料を配分できる対象職種」についてです。

 

●評価料を算定できる医療機関

評価料を算定できる医療機関は、次のいずれかに該当する必要があります。

救急医療管理加算に係る届出を行っている保険医療機関であって、救急搬送件数が年間で200件以上※であること。

② 「救急医療対策事業実施要綱」(昭和52年7月6日医発第692号)に定める第3「救命救急センター」、第4「高度救命救急センター」又は第5「小児救命救急センター」を設置している保険医療機関であること。

※救急搬送件数は、基準を満たさなくなった場合でも、賃金改善実施年度の前年度のうち連続する6か月間において、救急搬送件数が100 件以上である場合は、基準を満たすものとみなすことができます。

 

●評価料を配分できる対象職種について

評価料を配分することができる対象職種は以下のとおりです。
雇用形態における要件はありません。常勤だけでなく、非常勤の職員も対象です。一方、薬剤師および事務員等対象外となる職種がある点は注意が必要です。

 

<対象となる職種>

1.看護職員等(保健師・助産師・看護師及び准看護師)
2.看護補助者
3.理学療法士
4.作業療法士
5.視能訓練士
6.言語聴覚士
7.義肢装具士
8.歯科衛生士
9.歯科技工士
10.診療放射線技師
11.臨床検査技師
12.臨床工学技士
13.管理栄養士
14.栄養士
15.精神保健福祉士
16.社会福祉士
17.介護福祉士
18.保育士
19.救急救命士
20.あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師
21.柔道整復師
22.公認心理師
23.その他医療サービスを患者に直接提供している職種

 

該当する全ての職種に対して、評価料を配分しなければならないわけではなく、上記の内から配分する職種や職員の範囲は、医療機関の方針によって決めることができます。

 

例えば、該当する全ての職種に均等に配分することもできますし、看護職員等の内、非常勤職員のみに対象者を絞って配分することも可能です。

 

算定する評価料の総額は、対象範囲によって変動することはないため、1人当たりの配分額は、対象範囲を広げるほど少なくなり、絞るほど多くなります。各医療機関の状況を鑑みて、業務負担がかかっている職種や雇用形態を確認し、納得性の高い配分方法を選択する必要があります。

 

次回は、「看護職員処遇改善評価料(以下、評価料)について算定できる評価料の点数(区分)、評価料の配分方法」を解説します。

 

 

◆ 薄井 和人 プロフィール ◆
人事コンサルティング部 課長。2014年入社。主な業務内容は病院・診療所・社会福祉法人の人事制度構築支援、病院機能評価コンサルティング、就業規則改訂支援、人事担当者のOJT業務など。各地の病院団体・社会福祉協議会から講演依頼がある。講演内容は人事・労務、労働関連法令の改正情報、服務規程(パワハラ・セクハラ)など。
© Kawahara Business Management Group.