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ブログ

保育所経営ブログ

VOL.78「一定年齢に到達した職員の昇給停止の妥当性について」

2022.05.18

皆さん、こんにちは!
川原経営の神林です。

 

連休明けから、すっきりしない天気が続いています。
気温や湿度が違うと、人によっては食欲や睡眠の質なども変わってくるようです。

日々自分のコンディションに向き合って、
仕事にメリハリをつけることも大切ですね。

 

さて、今回は一定年齢に到達した職員の「給与制度における昇給停止」について、
考えていきます。

 

よくみられる「55歳での昇給停止」

多くの保育園では毎年度「定期昇給」を実施していると思いますが、
「55歳」や「52歳」で昇給を停止させるという園も見られます。

国家公務員などの給与規則では「原則55歳で昇給停止」としており、
この影響を受けているものと思われます。

 

保育園でもきちんと給与規程などに、
一定年齢で昇給停止(もしくは抑制)する旨を規定していれば、それ自体は有効となります。

 

年齢のみに着目することの妥当性

よく現場でご相談いただくのは、
「55歳以降も仕事の内容は変わらないのに昇給がなくなることは納得できない」
「ベテランの方が役職について責任を負う立場なのに不公平だ」など、
年齢のみに着目することに対するご意見です。

 

「基本給が大幅に下がる(減給)」、「支給要件を満たす手当がもらえなくなる」など、
極端な給与の引き下げは違法性を帯びる可能性が高くなるものの、
「昇給を据え置く」範囲であれば、直ちに違法となる可能性は低く、
あとは職場内(職員間)での公平性の問題となります。

 

職務や職責と連動させる

昇給停止に公平性を持たせるのであれば、
例えば「55歳以上は役職定年とし役職を外れる」、
「延長保育の遅番や土曜日の臨時番シフトには入らない」など、
一部の職務や職責を軽減させることを条件に昇給を据え置くとすると、公平感が見いだせます。

 

いずれにしても、どこかのタイミングで後進に役割をシフトしていく必要があるため、
急に定年退職でいなくなってしまうよりも、少しずつ先輩職員の見守りのもと
役割を引き継いでいくのが望ましいでしょう。

 

定年年齢の引き上げや同一労働同一賃金の考え方の浸透などにより、
従来から慣例的に行われてきた給与の仕組みを再検証する園も増えています。

 

職員にきちんと説明でき、納得できる仕組みを構築していきましょう。

 

 

◆ 神林 佑介 プロフィール ◆
人事コンサルティング部 副部長。2012年入社。保育士・社会福祉士。保育園、そして老人ホームで働いた後、オーストラリアへ留学。帰国後、会計や経営コンサルティングの仕事は未経験ながら、コンサルという仕事への憧れ、そしてホームで働いた現場経験を活かせるのではないかという想いをもって、この世界へ飛び込んだ。以来、介護・福祉施設の経営コンサルタントとして主に法人開設支援などを行なっている。
© Kawahara Business Management Group.