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保育所経営ブログ
VOL.63「退職代行会社への対応」
皆さん、こんにちは!
川原経営の神林です。
本年もよろしくお願いいたします。
新年早々、緊急事態宣言の発令に伴い、
各業界が営業時間の短縮や出社制限などの対応に迫られており、
保育園の運営も引き続き難しい局面が続きます。
このような状況下だからこそ、
有益な情報を定期的に発信できればと考えています。
さて、本日は、
最近よくご相談を受ける「退職代行」についてです。
ある日突然、
「△△退職代行サービスです。〇〇さんの退職の手続きを代わりに担当します。」などと電話がかかってきたら、誰しもが驚いてしまうと思います。
退職代行とはどのようなサービスを行う会社で、
園としてはどこまで対応する必要があるのか、考えてみましょう。
【退職代行サービスとは】
会社によってサービス内容が異なりますが、以下の内容が一般的なようです。
①退職の意思を本人に代わって伝える
②年次有給休暇の取得・買い取り交渉や、未払い残業代などの請求手続きを行う
③職場にある本人の私物を回収する
【園としての対応手順】
1.本人に連絡を取る
まず本人に連絡を取り真意を確認しましょう。
仮に代行会社から「本人へ直接連絡を取らないでください」などと言われても、
それに応じなければいけない法的な義務はありませんし、
退職が成立していない以上、職場が本人に連絡を取ることは当然のことです。
場合によっては同僚の先生などにも協力してもらい連絡を取りましょう。
2.本人と代行会社との関係を確認する
本人の退職の意思が確認できない、
若しくは連絡が取れず真意が確認できない場合、
代行会社に本人との関係を照会します。
本人との委任関係を証明できない場合、
代行会社からの請求に応じることは適切ではありません。
3.委任先が弁護士(若しくは弁護士法人)であるか確認する
代行会社は必要な登録や免許がなければ経営できない業種ではありませんが、
なかには弁護士(や弁護士法人)が退職代行を行うケースもあります。
弁護士(や弁護士法人)の場合でなければ、
先述した、②「年次有給休暇の取得・買い取り交渉や未払い残業代など」を本人に代わって請求することはできません。なお、年次有給休暇の買い取りについては一定の要件を満たす必要があります。
日本弁護士連合会のホームページなどで弁護士登録があるか確認しましょう。
4.退職に伴う手続きの実施
本人に退職の意思があり、代行会社が本人の依頼を受けている場合、
弁護士(や弁護士法人)であるかを問わず、
申し出から一定期間(民法上2週間の予告期間が必要)が経過していれば、
退職が成立することとなります。(※1)
退職金の精算、離職票の発行、希望があった場合の
私物の郵送(勝手に処分することができません)など、
本人または本人から依頼を受けた代行会社からの申し出に
対応する必要があります。
(※1).就業規則で「退職は1ヶ月前までに申し出ること」等と規定している場合、民法上の2週間予告期間とどちらを優先するかについては、裁判上で争いがあります。1ヶ月を待たずして退職が成立するケースもある点に注意しましょう。
【冷静に対応しましょう】
このような場合に大切なのは“とにかく冷静に対応すること”です。
言われるがままに代行会社からの請求に応じるのではなく、
通常の退職と同等の取り扱いを行えば十分と言えます。
今後、場合によっては起こり得るケースとして
お知りおきいただけますと幸いです。
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- ◆ 神林 佑介 プロフィール ◆
- 人事コンサルティング部 部長。保育園、老人ホームで働いた後、オーストラリアへ留学。施設での経験を活かしたいという想いをもって2012年に川原経営に入社。保育所・介護施設等を運営する社会福祉法人の給与・人事考課・研修の制度構築支援に従事。その他社会福祉法人の設立・合併・事業譲渡支援など、医療・福祉経営に関する幅広いコンサルティングを行っている。
保有資格:行政書士・保育士・社会福祉士
著書:「地域に選ばれる特別養護老人ホームの作り方」「介護ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本」
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