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保育所経営ブログ

vol.25「経営指標を読み解く!」

2018.05.13

皆さん、こんにちは!

川原経営の神林です。

 

大型連休が終わり、

社会福祉法人の方々については決算業務の真っ最中だと思います。

 

役員会や情報公開を控え、ここからが正念場ですね。

 

決算書の作成は、自前で作成している園と

会計士さんに委託している園があるかと思います。

 

皆さんの園では、毎月・毎年の決算数値をどのように経営に役立てていますか。

 

すべての勘定科目の数値を事細かに追いかける必要はありませんが、

経営のポイントとなる指標がいくつかあります。

 

例えば「人件費率」「経費率」などは代表的な指標です。

 

人件費率は保育所の場合、70%前後が適正比率でしょう。

これが80%近い数値となると収支差額率がマイナスに転じる可能性が高くなりますし、

極端に低い場合は保育士の配置不足や賃金水準が低いことが考えられます。

 

最近では人材紹介や派遣会社を活用する園もみられ、

その場合は職員人件費だけでなく、これらの業者への紹介料(経費)分も含めて、支出全体の値の妥当性を検証する必要があります。

 

経費率は18~20%程度が適正でしょう。

だからと言って、むやみにコストカット・経費節減を呼びかけてしまうと、

目指すべき保育が実現できなくなるばかりか、

先生方も意識が散漫になり疲れてしまいます。

 

それぞれの経費について、望ましい数値(目標としての使用量や数値、予算)を算出し、それに基づいた配分を各クラスにすることで、その範囲でやりくりする工夫をしてもらっている園があります。

また、水光熱費の推移(グラフ)を事務所内に掲示して、削減への意識づけを行っている園もあります。

 

目標と実績を可視化(見える化)することで、

少しずつ現場の先生方にも、工夫の必要性やコスト意識を持った働き方を考えていただけると良いと思います。

 

保育所の経営指標としてはいくつかの団体が調査を実施していますが、

独立行政法人福祉医療機構の経営状況レポートなどは、

定員別・保育所類型別に参考値が示されているので、

参考になるのではないでしょうか。

 

「経営」は堅苦しい感じもしますが、

園で働く皆が、人や物、お金のことを少しだけ考えてみる、

そして、その考えを「保育」に結び付けて考えてみる

その習慣を育み、それぞれの思いを共有することから始めてみると、

身近な問題として捉えていけるのではないでしょうか。

 

 

◆ 神林 佑介 プロフィール ◆
人事コンサルティング部 副部長。2012年入社。保育士・社会福祉士。保育園、そして老人ホームで働いた後、オーストラリアへ留学。帰国後、会計や経営コンサルティングの仕事は未経験ながら、コンサルという仕事への憧れ、そしてホームで働いた現場経験を活かせるのではないかという想いをもって、この世界へ飛び込んだ。以来、介護・福祉施設の経営コンサルタントとして主に法人開設支援などを行なっている。
© Kawahara Business Management Group.