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医療機関・福祉施設でのコミュニケーション向上委員会ブログ
Vol.25「今、承認することが大切な理由」
お知らせ 2021/12/22
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突然ですが、最近私は「承認」という言葉にとても敏感になっています。
仕事においてもプライベートにおいても、何事も戸惑うことが多くなったせいかもしれません。
そんな時、誰かに「それでいいんだよ」と言って欲しいと強く感じてしまう。
これ、もちろん個人的な事情もあって生じているのかもしれませんが、
今の社会の不安定さも少なからず影響しているのではないかと感じています。
このままモヤモヤしているのももったいないので、これを機にしっかり学んでみよう。
ということで、今回は「承認」のことを少し考えてみたいと思います。
1.承認欲求について
心理学の考え方に「承認欲求」という言葉がありますが、文字通り「承認を欲しがり求めること」を指します。
医療・福祉の現場で働く皆さんなら、この言葉を聞くと同時に、「マズロー」という名前がすぐに思い浮かぶかもしれません。
人間は、生命を維持する欲求(生理的欲求・安全欲求)や社会に帰属する欲求(社会的欲求)という低次の欲求が満たされると、さらに高次な欲求を求め、自己実現に向かって絶えず成長していくという理論が「マズローの欲求5段階説」です(図)。
承認欲求は「自己実現欲求」と同様の高次の欲求の一つであり、「尊敬・自尊の欲求」とも呼ばれています。
2.承認は「他者から」だけじゃない
承認欲求といいますと、「自分をみてもらいたい」「自分を認めてもらいたい」「大切に扱われたい」など、自分以外の誰かから承認されたいという意味を思い浮かべがちですが、実は、承認欲求には2つのタイプがあります。
〇 自己承認欲求:自分で自分を認めたいと思う欲求
〇 他者承認欲求:他人に認められたいと思う欲求
はじめにご紹介したような例は「他者承認欲求」だということがお分かりいただけるかと思います。
承認欲求というと「他者」を思い浮かべがちですが、「自己」という側面もあるということを理解しておきましょう。
3.承認欲求が強い職員は「かまってちゃん」?
一般的に、他者承認欲求が強い人というと「注目されたい」とか「愛されたい」「褒められたい」「目立ちたい」、もっと極端な例だと「嫉妬深い」「プライドが高い」「自分大好き」などと言われがちです。
私も、お客様からこうしたご相談を受けることがあるのですが、言葉の端々に「かまってちゃんがいて困る」的な空気を感じずにはいられません。
正直、そうした思いが強くなりすぎて、結果的に「かまってちゃん」になってしまう人もいらっしゃると思います。
でも考えて欲しいのは、先ほど紹介したマズローの考え方。
常に成長していきたいという思いが強ければ強いほど、承認へのこだわりも強くなってくる。
そう考えると、正しいタイミングや言葉で承認をすれば、着実に成長していくことができる可能性を秘めている職員である、と捉え直すことができたなら、法人や病院・施設にとってこれほど良い職員はいないのではないでしょうか。
「かまってちゃん」から、「頼もしい職員」に変身してもらうためにも、正しいタイミングや言葉での承認を心掛けてみましょう。
4.コロナ禍における承認の重要性
コロナ禍により、これまでの知識や経験だけでは十分に対応できないことが増えてきている、あるいは、都度どうしたらよいかを迅速に考え、業務にあたる必要性にかられている現場が多いと思います。
こうした状況を乗り越えていくために必要な、職員同士の議論や調整、連携についても、限られた場所や時間、方法の中で行わなければならないという制約と緊張の中にある上に、職員同士の何気ない会話や付き合いなど、日常的な人間関係による支え合いの機会も極端に減少している今。
職場の上司のみならず、あらゆる職員が互いの取り組みや志を認め合う機会を、職場の中につくっていくことがとても大切です。
5.コーチングにおける代表的な承認の方法
承認というと、相手を褒めなければと思う人も少なくありませんが、承認とは「認めること」であり「褒めること」とは異なります。
ここはまず、事実を認めることを通じ、相手に気づきを与えることを意識してみてください。
コーチングにおける代表的な承認の方法をご紹介します。
〇 存在承認:「あなたがいてくれてよかった」(相手の存在そのものを認める)
〇 事実承認:「いつも助けてくれてありがとう」(プロセスや努力を認める)
〇 成果承認:「よくやった」「おめでとう」(結果や成果を認める)
〇 変化承認:「いつもより早くできたね」(よい方向に変化していることを認める)
職場でのコミュニケーションを図る際、こうした点を意識して取り組んでみてはいかがでしょうか。
いろいろなことがあった2020年度がもうすぐ終わります。
今回は、他者承認欲求のことを中心にご紹介しましたが、自己承認の方も忘れずに。
私も「自分なりに精いっぱい頑張った」と、
この年度の自分自身を認めてあげることから始めてみようと思います。
もちろんご褒美付きで。(好きな本をネットで買いまくります!)
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