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ブログ

医療機関・福祉施設でのコミュニケーション向上委員会ブログ

Vol.18「必要な情報をしっかりと伝えていくために」

2020.07.21

先日、検査のため母を連れて病院に行ってきました。

コロナ禍ということもあり、もちろん病院はいつもとは違う空気に包まれています。

「必要緊急だから仕方ないよね」などと話しながら、入口での検温、問診を済ませ院内に入っていったのですが、入ってみるとびっくり!

 

普段から病院に行くと、受付場所や受付方法、院内の案内、相談窓口、病気に関する情報などたくさんの情報が、院内の壁に貼られていたり、パンフレットスタンドなど置かれていたりします。

その情報がさらに増えているではありませんか!

 

ただでさえ広い病院内。

どこに行けばいいのか分からない上に、多くの情報を読み、理解し、必要な情報を選別し、行動しなければなりません。

病院に行き慣れている私でもなかなか大変。

「あっちだこっちだ」と言われるがまま動いていた母は、もっとしんどかっただろうと思います(最後はイラついて地団駄踏んでました)。

 

この現象、医療機関だけでなく福祉施設などでもよく見られることのような気がします。

情報提供は何よりも患者(利用者)さんのためを思ってのこと。

それならばなおさら、その気持ちをよりシンプルに、かつ適切に伝えられるようにしなければなりません。

 

動線を一度確認してみる

 

院内(施設内)の場所や窓口を案内するための情報を提供する場合は、まずは患者(利用者)さんが、入口からどのように移動していくのか、その動きを確認することから始めます。

 

病院(施設)の利用目的により動きはさまざまあると思います。

例えば、総合病院であれば、内科に行く人もいれば外科にいく人もいますし、入口のあたりだけで用事を済ませ帰ってしまう人もいます。

こうした移動が多岐に渡る場合、それぞれの案内を丁寧に書けばかくほど、情報が複雑になってしまいがちです。

 

そうならないためにも、まずは患者(利用者)さんの動線を把握し、利用目的が多いところは提供する情報を手厚くし、利用目的が比較的少ないところは情報をシンプルにしていくなどして、情報量のメリハリをつけていきます。

 

情報の目的によりサインを上手に活用する

 

『人々の行動のよりどころとなる情報を具体的なかたちで表したもの、それを「サイン(SIGN)」といいます。』   (公益社団法人日本サインデザイン協会ホームページより引用)

 

皆さんも日頃の生活の中で何気なく見かけたり、お世話になったりしているのではないでしょうか。

情報をシンプルにしていくために、サインを上手に活用することも一つの工夫です。

 

情報をシンプルにするということは、さまざまな事情を持つ方々に情報が分かりやすく伝わるという利点もあります。

文字情報をすぐに読み取り、理解することに難しさを感じやすい高齢者や子ども、外国籍の方、視覚に障害のある方などに情報を伝えることができるという意味では、とても有効な情報提供の形です。

 

サインには情報の目的により、「公共サイン」と「商業サイン」の二種類があるといわれています。

公共サインは、あらゆる人たちに共通の情報を体系的に提供していくことが重要となります。商業サインは、特定の情報に興味のある人たちに興味が深まる(面白い)と感じる情報を提供していくことが大切になってきます。

 

病院や施設ではどちらかというと公共サインを多用しているように感じますが、来院(来訪)される方が、どの場所で何の情報を求めているかをさまざまな角度から考えながら、公共サインと商業サインを上手に使い分けていくと、情報にメリハリがつき、必要な人に必要な情報が届くようになります。

 

掲示物やチラシを過信しない

 

「必要な情報は常に置いてあるのだから困ることはない」

「掲示してあるサインを見れば迷うはずない」

そう思っていると、思わぬトラブルが生じる場合もあります。

 

場所や窓口を案内する掲示物をどんなに改善しても、来院(来訪)する方の心の持ちようによっては、正しく伝わらないことも少なくありません。

特に、医療機関や福祉施設などは、心身に不安を抱えているなど、おおよそ平常な心持ではない方々が来られるということを再認識する必要があります。

 

いつでもどんな時でも気軽に声をかけられる窓口を設けておくなど、人から人への情報提供の機会もきちんと用意しておいてあげることが、本当の意味での「患者(利用者)さんのため」になるのではないでしょうか。

 

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