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医療機関・福祉施設でのコミュニケーション向上委員会ブログ

Vol.9「礼儀礼節は「意味づけ」を大切に」

2019.10.21

先日、キャリアアップ研修の講師をさせていただいていた時のこと

研修が終了し事務局の方が、

「それではこれで本日の講義を終了いたします」と言った後、保育士の皆さんが「おつかれさまでした」と、声をかけ合いお辞儀をされました。

 

保育のみならず、福祉や医療の現場であれば当たり前の行為のような気もしますが、主催者は「なんて礼儀正しいのだろう!」といたく感激され、目がウルウルしていたのが印象的でした。

 

改めて振り返ってみると、こうした「福祉・医療ならではの礼儀正しさ」というものはたくさんあるような気がします。

また、他のどの産業にも増して自慢できる点だといえるのではないでしょうか。

 

礼儀礼節を考える時に大切なこと

一方で、現場の皆さんのお話を伺っていると、この礼儀正しさをどう継承していくかというあたりは常に悩みのタネのようです。

 

礼儀正しさ=礼儀礼節を考える時、どうしても「所作(身だしなみ、立ちふるまい)」や「接遇(相手に寄り添いながらふれあいもてなすこと)」に視点が置かれがちです。

 

しかし、

〇 さまざまな所作や接遇の行為や方法について、「なぜそうする(そうやる)のか?」

〇 寄り添う相手が、抱いている思いや気持ち

 

 

こうしたことに対する理解や解釈が、職場内でかみ合っていないと、職員一人ひとりの立ち振る舞いや言葉遣いがちぐはぐになり、せっかくの思いが形にならず、形式的に終わってしまうなんてことにもなりかねません。

 

意味づけをすることの大切さ

例えば、接遇において「挨拶」というとこのような図で説明されることが多いと思います。

 

「なぜ挨拶をする際に頭を下げるのか?」

それは人間の体の中で「頭」が一番大切な場所だからです。

もっとも大切な頭を差し出す=あなたに危害を加えません、あるいは敬意を表していますという心の姿勢を態度で示しているという訳です。

 

また、挨拶の「挨」は「押し開く、近づく」、拶は「迫る」=相手の心を開くという意味があります。

禅の世界でお弟子さんと師匠が問答を迫り心を通わせ合う姿を「一挨一拶(いちあいいちさつ」という言葉で表現していますが、それが挨拶することの意味なのです。

 

福祉や医療の現場における礼儀礼節の相手方は、高齢や障害、疾病等によりさまざまな不安や悩みを抱えています。

折に触れ、焦燥感やいらだちを感じることもあるでしょう。

「支援する者」「支援される者」の関係は、いくら支援者が寄り添う気持ちをもってしても、どうしても相手は上目遣いになりがちです。

 

そう考えると、どうでしょう。

同じ挨拶の仕方でも、福祉や医療の現場は他のどの産業にもまして、頭の下げ方や言葉のかけ方を工夫することが必要になってくる、とは思えませんか?

 

自施設(自院)ならではの礼儀礼節のあり様について、今一度皆さんで話し合ってみましょう。

日頃当たり前のようにしていたことが、改めて大切なことだということに気づくとともに、利用者(患者)や家族、職員同士の関係性が、より人間味のある豊かな関係になっていくと思います。

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