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ブログ

医療機関・福祉施設でのコミュニケーション向上委員会ブログ

Vol.7「コミュニケーションの落としどころは『調和』」

2019.08.14

連日の酷暑。

八十路になる母親の体調が気になり、今年の夏はいつも以上に実家に帰って様子を伺っています。

 

気だけは若いうちの母は、体を動かしていないと何だか不安だという、根っからの働き者です。

おまけに、「超」が付くほどの短気な性格。

「暑いからほどほどに」と何度言っても、パタパタと動き回っております。

 

先日も、一人で電車に乗って隣町まで出かけたそうなのですが、その時、女子高生に座席を譲られたのだとか。

その時のやりとりを少しご紹介します。

 

女子高生:(席から立ちあがって)「どうぞ」

母:「もうすぐ降りるから大丈夫」

女子高生:(困った様子で)「暑いので座った方がいいです」

母:「心配ないわ。大丈夫」

女子高生:(引くに引けずに)「危ないから座ってください」

と、こんな押し問答をしばらく続けていたとのこと。

互いに譲り合うというよい場面であるにも関わらず、何だか気持ちいい感じがしませんよね。

 

この後、うちの母がどんな対応をしたのかは最後にご紹介するとして、この会話から、職場におけるコミュニケーションを図る際に大切な、「調和」についてお話ししたいと思います。

 

よいコミュニケーションは「調和」を目指す

 

一人ひとりの異なる考えをしっかりと共有し、目標に向かって協働するための方策を確認していくことが、コミュニケーションを図る一つの目的といえますが、常に付きまとうのは「対立」という問題です。

 

対立はあまり良いイメージではありませんので、誰もができるだけ回避しようとします。

避ける方法としてよく使われるのは、「従わせる(強制)」または「折れる(妥協)」です。

しかし、強制や妥協から見いだされた考えからは、何の創造性も発展性も生まれてこないのです。

 

互いの考えや価値観を活かしていこうと考えた時には、「調和」を目指したコミュニケーションを目指すことが大切になってきます。

 

異なる考えが調和すると「新しい一歩」が生まれる

 

調和とは、コミュニケーションを図る双方の考えや価値観が活かされ、創造性や発展性の高いアイデアや方策が見いだされることです。

 

福祉や医療の現場においては、利用者(患者)さんの最善の利益を考えるとともに、社会情勢やニーズに的確に対応していくために「理念」をどのように捉え、実践に転じていくかというあたりは、大枠での考え方は同じであっても、具体的な部分は職員一人ひとり微妙に異なるはずです。

 

違いがあること。

これは、一見具合の悪いことのようにも見えますが、見方を変えると、多様なアイデアが潜んでいるとも捉えることができます。

 

「違い」を「多様なアイデア」に変えるコミュニケーションが実現できれば、創造性のある新たな一歩が踏み出せるという訳です。

 

「議論」ではなく「対話」すること

 

職場内のコミュニケーションでは、どうしても議論をして考えを戦わせてしまうことが多くなりがちです。

調和していくためには、「議論」を「対話」に変えていく必要があります。

 

互いに違う考えや価値観があることを理解し、尊重し合いながら、それぞれ主張を活かすことができる解決策はどこにあるのかを話し合っていく。

 

対話に基づいたコミュニケーションの機会を増やしていくことが、職員一人ひとりの成長のきっかけにもなりますし、組織が変わっていくことにもつながっていくのです。

 

 

さて、先ほどの会話の顛末。

 

「お年寄りを大切にしようと思ってくれる気持ちだけでも嬉しいわ。

じゃあ、座らない代わりに荷物を持ってもらおうかしら」 

母はそう言って、持っていた大きな紙袋と日傘を、座っている女子高生に手渡したそうです。

 

女子高生もほっとしたようで、母が下車するまで楽しい会話が続き、暑さなど吹き飛んでしまったとのこと。

 

見事な「調和」だと思いませんか?

わが母ながらあっぱれでございます。

 

◆ 久保田 真紀 プロフィール ◆
社会福祉士、保育士。都道府県社会福祉協議会にて、法人の経営基盤強化や施設の運営に向けた支援のほか、当事者活動支援、福祉教育にかかる業務に従事。現在は、㈱川原経営総合センターにて、法人・施設等の設立、運営支援、職場内環境改善に向けた調査分析などに携わる。
© Kawahara Business Management Group.