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医療機関・福祉施設でのコミュニケーション向上委員会ブログ
Vol.16「文字でのコミュニケーションは「すれ違い」に注意!」
コロナ禍によって、人と人とが直接触れ合わない、さまざまなコミュニケーションツールに注目が集まっています。
特に文字によるコミュニケーションツールについては、福祉・医療の現場でも、メールやチャットなどに拘わらず、電話(ビデオ通話を含む)を積極的に利用して、連絡や相談、情報伝達・共有に活用されているところも多くなってきていると思います。
私の大学の同級生で、今は介護福祉施設に勤めている友人も、チャットを活用したコミュニケーションの機会が多くなったと話していました。
そんな中で、こんなトラブルがあったとか。
「職場の同僚Aさんが、折り返し連絡を入れると言っておいて連絡してこないと、利用者のご家族からお怒りを込めた電話があったの。そのことを伝えようとAさんにチャットを送ったら、私の思惑と何だか違う返事が返って困惑しちゃった。」
そう言って見せてくれた内容がこちら。
状況や思惑がみえないとすれ違う
皆さんはこのコミュニケーションの中で、私の友人がどの部分に困惑を覚えたのか分るでしょうか?
そう。
「お怒りの様子でした」という言葉に対する、同僚Aさんの答えに困惑しているのです。
友人は、Aさんがいつもと同じようにご家族に連絡してしまって、さらにお怒りを受けては大変だから、予めご家族の様子を伝えておこう・・・と思って書いたわけです。
それなのに、返ってきたのは「何故怒っているのか分からない」との言葉。
友人が思い描いた同僚とご家族との状況と、Aさんがご家族と実際にやりとりした状況が異なっていた可能性があります。
文字でのコミュニケーションの場合、互いの「思惑」と「実態」にずれが生じ始めると、コミュニケーションをいくら図っても共通の理解を伴った伝達や連絡、相談ができにくくなってきます。
「すれ違い」を少しでも防ぐために
友人が困惑してしまった今回の「すれ違い」。
伝言の目的はとりあえず達成できていますので、仕事の上は問題ありませんが、このモヤモヤした気持ちを引きずると、また同じようなことが起こった時考えてしまいますよね。
人間関係も微妙になるかもしれません。
そもそもこうした「すれ違い」が起こるのは、良かれ悪しかれ相手を思いやっているからこそ。故に、なかなか防ぐことは難しいです。
でも、少しの工夫があれば「すれ違いの距離」を縮めることができるかもしれません。
伝える側、受け取る側双方でできる工夫をご紹介します。
【伝える側】 「仕事の連絡」と「思いやり」は切り分けて伝える
仕事の連絡を簡潔明瞭に書き、「以上、連絡(または報告、相談)です」と結ぶ。
その後気になることがあれば、
「念のためお伝えしておきますが」
「少し気になりましたのでお知らせしておきます」
「関係ないかもしれませんがお伝えしておきます」
などの言葉を付け加えて、気づいたことなどを「思いやり」として伝える。
【受け取る側】 状況を知らない人からの「思いやり」は受け止めるに留める
先ほどの事例の同僚Aさんはチャットを見た時、「自分がご家族に良くない対応をしていると思われている」と思ったのかもしれません。
しかし、大事なのはその部分の真相を明らかにすることではなく、「ご家族にすぐに連絡すること」と、「連絡をくれた同僚に感謝する」ことでありますので、「思いやり」の部分は有難く受け止めるに留め、対応していくことが望ましいのではないでしょうか。
仕事の連絡や相談、報告なのだから、「思いやり」のような配慮はいらないのではないか、という意見もあると思います。
しかし、会話以外のコミュニケーションが今後広がっていくと、便利さや簡潔さが先に立ってしまい、人と人との会話の中で補ってきた、相手に対する思いやりや配慮する気持ちがそぎ落とされていってしまう可能性があります。
無機質なコミュニケーションにならないよう、皆で工夫していきましょう。
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