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医療機関・福祉施設でのコミュニケーション向上委員会ブログ
Vol.29 会話の流れをつくる、ちょうどいい「間」
先日、職場の別の部署に所属している先輩が、私の弊社再入社のお祝いの席を設けてくれました。
普段は挨拶程度で、ゆっくり話す機会はなかなかなかったのですが、席に着いて話し始めてみると、不思議なほど会話が自然に進み、久しぶりであることも、時間が空いていたことも、ほとんど感じませんでした。
帰りの道すがら、ふと気になったのです。
あの心地よさは、いったいどこから来ていたのだろう、と。
もちろん、先輩のお人柄やこれまでの関係性もあると思います。でも、それだけではなく、相手の話し方やうなずき、言葉を待ってくれるリズムの中に、こちらが自然と言葉を返したくなる「ちょうどよさ」があったのではないか。そんなふうに感じたのです。
この体験を単なる「楽しかった会話」で終わらせるのは少しもったいないので、人の言葉が自然に出てくる会話には、どんな「間」があるのか。日常の会話から、福祉・医療の現場での関わりまで、少し考えてみたいと思います。
1.話し始めやすい、ちょうどいい空気
考えてみれば、私たちは毎日のように、家族や友人、職場の仲間、利用者(患者)様やご家族など、さまざまな人と言葉を交わしています。
近況を話したり、相談したり、気持ちを分かってほしかったり。ときには、確認や説明、お願いをすることもあります。
会話の目的は違っても、「自分の言葉が相手に届くだろうか」という思いは、誰しも少なからず持っているものではないでしょうか。
そう考えると、「話してみよう」と感じられるかどうかは、話の内容だけで決まるものではなさそうです。
何気ない相づちや、少し待つ姿勢、言葉を急かさない空気。
そうした小さな「間」の積み重ねが、会話の流れを少しずつつくっていくのではないでしょうか。
2.急がない「間」が、言葉を引き出す
こんな場面はないでしょうか。
相手が何かを話し始めたとき、こちらが先回りして「つまり、こういうことですね」とまとめたくなること。
相手の話を理解したい。早く整理してあげたい。よかれと思って、つい言葉を重ねてしまうこともあると思います。
そんなとき、一呼吸置いて、相手の言葉が出てくるのを待ってみる。沈黙をこちらの都合で埋めすぎないようにする。その少しの「間」があることで、相手は自分の考えや気持ちを、自分の言葉でたどりやすくなるのだと思います。
この「間」は、福祉・医療の現場での関わりを考えるうえでも、大切な視点だと思います。
利用者(患者)様の中には、ご自身の思いを言葉にすることが難しい方もおられます。またご家族も、支援や治療を受ける中での気持ちの負担や疲れから、思いを伝えることにためらいを感じる場合があります。
説明や確認、判断が必要な場面ほど、ついこちらのペースで進めたくなりますが、相手の背景に思いを寄せながら、その人の言葉が出てくる「ちょうどいい間」を残すことを大切にしたいものです。
3.相談しやすい職場は、会話から育つ
利用者(患者)様やご家族との関わりだけでなく、職員同士の会話にも、同じことが当てはまるのではないでしょうか。
経験年数や職種、役職の違いから、「こんなことを聞いていいのかな」と迷う場面は少なくありません。
ミスや不安を相談したいときほど、「迷惑をかけたくない」「責められるかもしれない」という気持ちが先に立ち、必要な一言が出にくくなることもあるかもしれません。
だからこそ、相談を受けたときには、すぐに正解を返そうとせず、「そう感じたんですね」と一度受け止めてみる。時間がないときは、「今はここだけ確認させてください。あとで改めて聴きますね」と添えてみる。会話を止めないための小さな配慮が、相手の言葉を引き出す「間」になるのではないでしょうか。
会話のよさは、時間を長くかけることではなく、相手の言葉を大切に扱おうとする、ちょうどいい距離感から生まれるものです。
話しやすい関係は、特別な言葉を用意することよりも、相手の言葉を急がせずに受け止めようとする小さな姿勢から生まれていくのかもしれません。急ぎすぎず、離れすぎず、相手の言葉のそばにいる。
そうした一つひとつの関わりが、利用者(患者)様やご家族、そして職員同士の「もう少し話してみよう」という感覚につながっていくように思います。
忙しい毎日だからこそ、会話の流れをつくる「ちょうどいい間」を、少しだけ意識してみたいものです。

- ◆ 久保田 真紀 プロフィール ◆
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経営コンサルティング部門コンサルタント。都道府県社会福祉協議会で社会福祉法人・福祉施設の経営・運営支援や調査研究に従事後、当社入社。その後一旦退社し、自治体で社会福祉法人の指導監査を担当後、再入社。現在は経営改善、調査分析、人事制度構築・運営、職場環境改善を支援。
資格:社会福祉士・保育士
執筆:「介護ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本」
「福祉・医療現場のコミュニケーション向上委員会」
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