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医療機関・福祉施設でのコミュニケーション向上委員会ブログ
Vol.28 新任管理職が陥りやすい「コミュニケーションのつまずき」
この時期は、お客様への訪問や研修等の場面で、新しく管理職になられた方と関わる機会が増えます。
皆さんそれぞれに、ご利用者やご家族、そして職員のために「よいチームをつくりたい」という強い思いを持って仕事に取り組んでいることが、会話などから窺い知ることができ、本当に頼もしい限りです。
一方で、その思いが強くなりすぎたために、職場内のコミュニケーションで問題が生じてしまったというお話を聞くことも少なくありません。
今回は、新任管理職として落ち着きつつあるこの時期ならではの、「コミュニケーションのつまずき」の原因や対策について、考えてみたいと思います。
1.「伝える」だけでは、コミュニケーションは成立しない
ある福祉施設で、4月の人事異動でリーダーに初昇格した職員のお話です。
とても真面目なその方は、「自分がしっかり指示を出さなければ」と考え、どんなささいな事でも部下に伝える時は、「丁寧に」をモットーに話しかけるよう心掛けていました。
「○○さんは食事の摂取量が少し減っていて、その理由としては・・・と・・・が考えられるから、今日からは・・・と・・・をこうして…」
と、とにかくしっかり伝えていたのですが、ある日、部下の職員からこんなことを言われ、ショックを受けてしまったそうです。
「話が長くて分かりにくい」
「忙しいから全部聞く余裕がない」
本人としては「伝えているつもり」でも、相手からすると「受け取れない」状態が生まれていたのです。
新任管理職に多く見られる特徴の一つに、「伝えることへの責任感」があります。
冒頭にご紹介した職員のように、管理職になった以上、「指示や判断を適切に示さなければならない」「間違いがないように説明しなければならない」という思いが強くなるのは、誰でもその立場になれば自然なことです。
しかし、ここで少し立ち止まって考えてみてほしいのです。
コミュニケーションは「伝えること」だけで成立するものではなく、
相手に伝わるとともに、実際の行動に結びつくことで、初めてその意味が生まれるということを。
2.相手の反応をみながら「必要なことを選んで伝える」
伝えたいことを相手にきちんと届けるためには、まず「今、相手が受け取れる状態か」を確認することが大切です。
相手が忙しそうにしていないか、理解できている様子か、質問しやすい雰囲気か。こうした点に目を向けるだけで、話し始めるタイミングや伝え方は変わってきます。
また、いきなり説明を始めるのではなく、「今、確認しても大丈夫ですか」とひと言添えるだけでも、相手の受け止め方は変わります。相手が手を止められる状況なのか、急ぎの対応中なのかを見極めてから話し始めることが、伝わるコミュニケーションの入り口になります。
次に意識したいのは、「全部伝える」から「必要なことを選んで伝える」への切り替えです。
管理職になると、責任感から「理由も経緯も全部伝えておかなければ」と考えがちです。しかし、その場で相手が必要としているのは、必ずしも全ての情報ではありません。「今、何をすればよいのか」「何に気をつければよいのか」が分かることだとするならば、
・まず結論を伝える
・その場で必要な情報に絞る
・理由や経過は必要に応じて補足する
・最後に「ここまでは大丈夫ですか」と確認する
というコミュニケーションの組み立てにすれば、自分が伝えたい内容と、相手が欲しい内容の濃淡がつけやすくなり、伝わるコミュニケーションになってきます。
伝える内容を減らすことは手を抜くことではなく、相手が受け取りやすく、行動に移しやすい形に整えて渡すことです。相手が安心して動けるように伝え方を調整することを意識してみましょう。
3.話しかけやすい雰囲気を持つことも大事
さらに、管理職になったことで、職員との間に少し距離ができてしまうことがあります。
本人にそのつもりがなくても、会議や書類作成、外部との調整などに追われる中で、知らず知らずのうちに表情が硬くなったり、返事が短くなったりすることで、職員から「忙しそう」「今は声をかけにくい」と受け止められてしまい、コミュニケーションが取りづらい雰囲気になっている、というお話もよく聞きます。
福祉や医療の現場では、小さな違和感や気づきが、ご利用者の安全や安心につながることがあります。
相談しやすい雰囲気を持つことは、現場の情報が早めに集まる状態をつくるという意味でも大切です。
難しいことをする必要はありません。声をかけられた時に顔を上げる。「ありがとう、教えてくれて」と返す。すぐ対応できない時は「〇時にもう一度聞かせてください」と時間を示す。こうした小さな反応の積み重ねが、話しかけやすさにつながります。
管理職になったばかりの頃は、肩に力が入るものです。
だからこそ、少し立ち止まり、自分の言葉や態度が職員にどう届いているかを見直す時間も必要です。
その小さな見直しを積み重ねながら、職員が安心して声をかけられ、互いに支え合えるチームの土台を育てていきましょう。

- ◆ 久保田 真紀 プロフィール ◆
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経営コンサルティング部門コンサルタント。都道府県社会福祉協議会で社会福祉法人・福祉施設の経営・運営支援や調査研究に従事後、当社入社。その後一旦退社し、自治体で社会福祉法人の指導監査を担当後、再入社。現在は経営改善、調査分析、人事制度構築・運営、職場環境改善を支援。
資格:社会福祉士・保育士
執筆:「介護ビジネスの動向とカラクリがよ~くわかる本」
「福祉・医療現場のコミュニケーション向上委員会」
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