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介護経営のエッセンス

【介護経営の勘どころ⑦】特別養護老人ホームの経営改善を必要な資金と人材課題から考える

2026.07.01

 介護経営を取り巻く環境は、人材確保の難しさや物価上昇などを背景に、年々厳しさを増しています。とくに特別養護老人ホームでは、ユニット型と多床室で設備基準や人員配置の特性が異なるため、同じ視点で経営を判断すると実態を見誤るおそれがあります。介護コンサルティングにおいても、まずは事業の構造的な違いを踏まえて現状を整理することが、経営改善の出発点になります。

必要なのは単なる「黒字化」ではない

 特別養護老人ホームの経営改善では、単に収支の黒字・赤字だけを見るのでは不十分です。ユニット型では借入返済、多床室では修繕費用への備えなど、施設の状況に応じて必要となる資金を逆算し、毎年どれだけ資金を確保すべきかを明確にすることが重要です。介護経営では、この“将来資金の見える化”が経営判断の精度を高めます。

人材不足は「人数」だけで判断しない

  現場では人材不足感が強く、新規利用者の受け入れに慎重になることもあります。しかし実際の問題は職員の人数ばかりでなく、シフト調整の負担、職員間の連携不足、特定職員への業務集中など、心理的負担が背景にあるケースも少なくありません。方針の提示不足やコミュニケーション不足が負担増に繋がります。

 改善に向けては、次の視点を押さえることが有効です。

  • 必要な職員数を常勤換算数で把握する
  • 稼働率は組織全体の目標として可能な限り100%を目指す
  • 必要財源から逆算して具体的な目標を設定する
  • 管理者は隙間時間を活かし現場改善のための話し合いを持つ
  • 積極的に行動する前向きな人材を評価し、改善する風土を目指す

 

まとめ:介護経営は、目標の明確化と組織の前向きな実践から変わる

 特別養護老人ホームの経営改善には、施設の特性に応じた数値管理と、現場の心理的負担を和らげるマネジメントの両方が欠かせません。必要な資金を明確にし、限られた人員で持続可能な運営体制を築いていくことが、これからの介護経営に求められます。今後も介護コンサルティングの視点から、実務に活かせる改善の勘どころを連載でお届けしていきます。

 

次回は、介護老人保健施設の特性と、その経営改善のポイントについてお伝えします。

 

このブログ記事は、弊社のコンサルタントが月刊誌「WAM」に執筆した記事をもとに再構成しています。多床室とユニット型で異なる経営指標の具体例など、さらに詳しく知りたい方はPDFの記事もご覧ください。
(PDF)経営改善のポイント(特別養護老人ホーム)

 

◆ 田中 律子 プロフィール ◆
2004年入社。以前のシステムエンジニアの経験より2000年に介護業界に関わったことをきっかけに、介護系事業所や介護請求システム会社を経由し、縁あって川原経営と出会い入社。福祉サービスに関する第三者現評価の業務を経て、現在は特別養護老人ホームや介護老人保健施設の戦略構想立案や経営改善、その他自治体からの研究受託などを行っている。医業経営コンサルタント資格保持者。

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