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医療が活きる、介護が活きる、つながりヒント
VOL.3「介護施設の職員の視点で情報提供をしていますか?」
皆さま、こんにちは。
川原経営総合センターの遠藤です。
介護施設が求めている情報を意識する
医療機関では、多くの高齢患者を診察しています。その中には、介護施設の入所者さんも少なからずいらっしゃいます。
患者さんに付き添う介護施設の職員に、患者さんの病状や介護施設での過ごし方、介護施設側の対応方法などを丁寧に説明しているでしょうか。
今回は、介護施設の入所者さんが医療機関を受診されたときに、医療従事者から付き添いの介護職員に「医療や介護に必要な情報」を上手に受け渡しするポイントを、お伝えしたいと思います。
介護施設が必要とする情報とは
介護施設は、入所者に必要なケアを滞りなく行えるよう情報を必要としています。医療従事者から次のような情報を提供すると介護施設の職員間でも共有しやすいでしょう。
- 病状
- 治療方法
<受診後に介護施設へ戻られる場合>
- 共同生活上での注意点
- 加えるべき介護
- 急変時はどうすればよいか
<入院が必要な場合>
- 想定される入院期間
- 退院時の回復の程度
- ADL(日常生活動作)の変化の度合い
また、介護施設側は受診に同席できなかった入所者の家族へ説明をする役割も担っています。
家族へ事実を正しく伝えるためのアドバイスをすると喜ばれます。
病院からの情報が活用されるためのポイント
具体的には、次の3つを意識していただくとよいのではないでしょうか。
- 介護施設で対応できる範囲を確認しながら、介護施設での生活やケアにも踏み込んで説明する。
例)「介護職員の方は、点眼薬を差すことはできますか?差し方のコツですが・・・」
- 介護職員が他の職員や入所者の家族に事実を正しく伝えることができるように、専門用語をなるべく使わず分かりやすく丁寧に説明する
例)「検査をしましたが、病名は腸閉塞ですね。イレウスとも言われます。腸の一部が・・・。」
- 介護職員から医療従事者への質問を促す
介護職員は医療従事者に質問することを躊躇しがちです。
医療従事者から介護職員に疑問や質問がないかを問いかける時間を設けて、正しい情報を持ち帰っていただけるようにしましょう。
参考資料として、独立行政法人国立国語研究所の「病院の言葉をわかりやすくする提案」(平成21年)(https://www2.ninjal.ac.jp/byoin/teian/pdf/index.html)をご紹介します。
患者さん向けではありますが、医療と介護のコミュニケーションにも大いに役立ちます。
逆に、医療従事者も介護保険制度や介護職員が使う専門用語が分からないこともあるかもしれません。
その場合は、独立行政法人福祉医療機構のWAMNET「制度解説・ハンドブック」(https://www.wam.go.jp/content/wamnet/pcpub/kaigo/handbook/)などが参考になります。
介護施設の職員は専門職としての役割を果たすと共に、病院と家族をつなぐ役割も担います。
「医療」と「介護」が協働しお互い補完し合うためのヒントとして活用していただければ幸いです。

- ◆ 遠藤 愛 プロフィール ◆
- 病院コンサルティング部所属。社会福祉士・精神保健福祉士・介護福祉士。一般企業の営業職から訪問介護事業所での勤務を経て、二次救急病院(一般病棟・地域包括ケア病棟)の医療ソーシャルワーカーになる。様々な支援に関わるやりがいを感じながらも、「患者さん・家族の支援には病院の体制が重要」と痛感し病院経営支援の道を志した。現在は病院運営全般支援業務、病院機能評価受審支援を主に業務を行っている。
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