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開業支援

開業された先生の体験談

のむらファミリークリニック 院長 野村 直人 先生

(お話を伺った日:2013年08月27日)

開業のきっかけについて、教えてください。

 

私は以前から特に、開業を考えていたわけではありませんでした。卒業から20余年、徐々に専門である消化器内科に特化し、胃癌の内視鏡的切除等の高度で専門的な医療に魅力を感じていましたし、外来診療が主体となる開業は、変化に乏しい毎日になってしまうのではないかといった危惧も、正直ありました。

そのままずっと定年まで、消化器内科の専門医として勤務医を継続するつもりでしたが、2010年4月、当時勤めていた病院の治療方針や姿勢に疑問を感じ始めていた私に追い打ちをかけるように、退職を決意させる出来事が起きました。退職後のことも考えず、院長に辞める意思を伝えたことを妻に話したところ、「それならば開業したら?」と事も無げに言われました。「自分のペースで診療できる開業医は、むしろあなたには向いているかもしれない?」という言葉はある意味驚きでしたが、「自分も一緒にサポートするから」と言ってくれた看護師でもある妻の言葉に勇気づけられ、開業する決断をした次第です。

開業にあたって実現したいと考えた医療について、教えてください。

いろいろな症状や悩みを抱えた患者さんたちの状態を推測し把握するためには、じっくりと向き合い、言葉だけではなく、その表情や態度から情報を収集する必要があり、時間と手間がかかることが往々にしてあります。本来もう少し時間をかけて対応すべきとは思っていても、一般の病院で多くの患者さんたちがお待ちしている状況では先を急ぐあまり、あえて触れずに済ませてしまうことも少なからずあり、必ずしも納得のいく外来診療を行っていたとは言えませんでした。また、病院という看板を背負っての外来では、診療内容よりも、ときに外来患者数や売り上げと言った要素が重視される傾向があり、それが無言のプレッシャーのように圧し掛かっていたことも否めませんでした。

開業するにあたり、必要に応じて診察に時間を割いて、患者さんにとってはもちろんのこと、自分にとっても納得のいく対応がしたいと考えていました。もちろん、多くの患者さんたちにお待ちいただいている状況では限界がありますが、大きな病院ではなかなか訴えに耳を貸してもらえなかった方々が、心を許してお話して下さる場としてのクリニックが実現できたらと考えておりました。

開業のパートナーに川原経営を選んでよかった点を教えてください。

医用電子機器の開発・製造・販売を行っている日本光電(株)さんからのご紹介で川原経営を知りました。会計事務所3社の提案を比較検討し、最終的に選ぶポイントとなった点は、次の4点で、開業後にその判断が間違っていなかったことを実感することになりました。

 

川原経営を選んだポイント

事業計画の立案

以前から開業することを考えていたわけではなかったので、自己資金はほぼゼロの状態でした。さらには、開業2年前に自宅を建ててしまっていたこともあり、そのローン返済も合わせると、銀行からの借り入れにも制限がつくことが考えられましたが、特に縮小することなく、自己資金がある場合と遜色のない事業計画を立てることができました。開業前に予測していただいた一日あたりの目標患者数と収支バランスの推移も的確で、開業後も特に不安を抱くことなく診療に専念することができています。

事業資金の調達

ある地方銀行から無担保・無保証で希望額の融資を受けることができました。これは、川原経営の開業支援実績による信用力のおかげだと感謝しています。融資を受けることができたからこそ、納得のいく計画を立てることができました。

職員研修

開業前、クリニックにてオリエンテーションや会計の初期指導などの職員向け研修をしていただきました。内容は非常に的確で、診療所の経営者やスタッフとしての心得や立場等について、しっかりと教えていただきました。当時わからなかった内容が、その後実際に運営を進めて行くにつれ、初めて理解できたことも多々あり、その先見の明には感心させられました。

創業45年超のノウハウと実績

業界内では抜群の知名度と実績を誇っているという事実は後から知りましたが、社員一人ひとりの方が、高いモチベーションを持ち真摯な態度で接して下さるので、事業全般について安心してお任せすることができました。これは、長い年月を経て蓄積された多くのノウハウを確実に後輩に伝えていこうとする社風に基づき、きちんとした教育が行われている結果であると感じました。開業後も親身に様々な相談に応じて下さり、経営面についてだけではなく、デリケートな人事面に関しても適切なアドバイスをいただきました。

開業に向けての準備で、特にこだわった点を教えてください。

専門としている消化器領域では、苦痛を伴うと思われている検査の代表として、内視鏡検査が挙げられます。特に上部消化管を観察する、いわゆる胃カメラは、実際に受けた方の苦しかったという体験談のみが独り歩きし、検査が必要な場合でも躊躇した結果、不幸な転帰を辿ることがときにあります。

実は検査が苦しいかどうかは、術者の技量もさることながら、いかに自分を見失わずにゆったりとした呼吸をすることができるかが鍵を握っていると考えています。患者さんにとっては受けてみようと決断する段階からすでに検査は始まっていて、検査当日に無事終了するまでの間、私やスタッフの説明や対応により安心して検査を受けられるような雰囲気作りが何よりも大切と考えています。信頼関係が構築できるようなきちんとした説明が必要なのは言うまでもないことですが、それとともに、開放的で明るい空間の確保や少しでも苦痛の少ない、細径でありながら明るい視野が確保できるスコープの選択など、設備や機器も患者さんの立場に立った視点から選定いたしました。

開業後、予想外の事態は起きましたか?また、どのような対応によって解決しましたか?

事前に開業を意識していたわけではありませんでしたが、決意してから1年半以上の期間がありましたので、想定される事態に対し可能な限り準備はしてきたつもりでした。開業を支援していただいた方々にもいろいろと情報を教えていただいておりましたので、特に大きなトラブルもなく半年ほどは経過いたしました。

しかし、あるときスタッフ同士で意識状態に差があることが発覚しました。日頃、お互いの関係は良好であると思っていただけに、自分にとっても妻にとっても少なからずショックな出来事でしたが、それを契機に各人からの聞き取りを適宜行い、仕事に対する姿勢や考え方を再度見直し、ときにそれぞれを交えて話し合いをしていくことで、よりお互いの理解度は深まったものと思います。その際、川原経営の担当者の方々にはいろいろとご相談させていただき、親身なアドバイスをいただきましたが、その都度大変心強く感じました。

将来に向けた展望をお聞かせください。

様々な要因が重なり結果として開業することとなりましたが、今となっては現在の状況にいき着くためにこれまでの経緯があったのではないかと思えるくらい、開業医としての毎日に違和感なく順応している自分があります。看護師でもあり事務長的役割も果たしてくれている妻と二人三脚の日々で、かなりの仕事を分担してくれているおかげで、肉体的にも精神的にもかなりの負担の軽減につながっています。妻とともに行動する時間も格段に増え、一日の大半を一緒に過ごしている現状を考えると、こうなることが自然な流れであったのかとも感じています。もちろん、これまでの様々な患者さんたちや医療関係者の方々との出逢いや経験ひとつひとつの積み重ねがあってこそ、現在の自分の立ち位置が見えてくるのだと思いますし、何を大切にして毎日の診療を行うべきかの判断基準となっているのだとは思います。

おかげ様で、開業から2年弱で500名近くの方に内視鏡検査を施行させていただきましたが、特に鎮静をかけることなく経鼻用のスコープを口から挿入させていただいているにも拘わらず、強い苦痛を訴えた方はほとんどなく、リピーターの方や口コミで検査をご希望して来院して下さる方も増えてきています。これまで、何回検査を受けても苦しかったという方やせっかく意を決して受けたのに”胃はきれいでしたよ”のひと言で済まされ、それでも症状が持続しているストレス等が原因である機能性胃腸症のような方も、自分を見失わずに検査を受けられたという事実に自信と達成感を得るだけで随分と症状が軽減し、内視鏡嫌いの方が減っていくのではないかと思っています。まだまだ発展途上でより多くの患者さんたちから信頼して支持していただけるよう努力を続けていく必要はありますが、検査や診察を通して自分の心と身体の特徴を把握し、日々折り合いをつけることで様々な症状から解放され苦痛のない生活ができる契機になる、そういった場を提供できるクリニックとなることができればと考えています。

今後、パートナーとしての川原経営に望むことはありますか?

これまでもそうでしたが、今後さらに社会情勢が流動的になり、様々な変革が行われることが予想されます。制度の変更により有利になる部門もあれば不利になる部門もあり、生き残るためについ目先の利益を追いがちになってしまうことは、ある程度仕方がないことなのかもしれません。しかし、どんなに時代が変わっても、普遍的な価値観というものはありますし、あると信じたいと思います。人として守るべきものが何であるかを見極め、修正すべきことは取り入れつつも、大きくブレることなく信念を守って仕事に望む姿勢は、結果として患者さんや依頼者の方からの信頼を勝ち得る方法であると思います。これは、どのような職業でも共通して言えることであり、川原経営においても、一人ひとりが誠実に仕事に取り組んでいる現在の社風を守り続けて、いつまでも信頼できるパートナーであり続けていただきたいと思います。

のむらファミリークリニック

開業年月:2011年12月
診療科目:内科一般、消化器科疾患、内視鏡一般、その他疾患
URL  :http://nomura-family.com/

© Kawahara Business Management Group.