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お知らせ

社会保険旬報 No.2681「医療法人の持分に内在する課題の解決策となるか ―新しい認定医療法人制度の概要―」【1/3】(「1.医療法人の持分を巡る国の動き」「2.持分と事業承継に関する問題点」)を掲載しました。

お知らせ2017.08.31

医療法人の持分に内在する課題の解決策となるか (1/3)
  ―新しい認定医療法人制度の概要―

 株式会社 川原経営総合センター 法務企画部 副部長   山川 光成
                代表取締役社長     川原 丈貴

本記事は、社会保険旬報No.2681(2017.7.21)に掲載されたものです。
新しい認定要件などについては最新情報を確認ください。

1. 医療法人の持分を巡る国の動き

 平成18年改正医療法による医療法人制度改革により、医療法人の非営利性の徹底が図られた。いわゆる「持分あり医療法人」の新設ができなくなり、残余財産の帰属すべき者を限定された、「持分なし医療法人」が原則とされた。また、厚生労働省は既存の「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」への移行をすすめているが、平成28年3月末時点で持分なし医療法人へ移行した法人は513法人に留まっており、円滑な移行がなされているとは言い難い状況である。
 厚生労働省は、出資者の死亡に伴う相続税負担(相続税支払いのために持分の払戻請求が行われる場合を想定)が、医業の継続性を損ないかねないため、これまで制度改正を行ってきた。平成26年に移行計画の認定制度を創設したが、その認定件数も平成29年3月末で67件にとどまっている。この制度が平成29年9月末で期限を迎えることを踏まえて、新たな移行計画の認定制度を含む改正医療法が平成29年6月7日に国会で可決された。先だって行われた税制改正では、移行計画の認定に関する画期的な改正が加えられたが、医療法の改正を前提としていたためその動向が注目されていた。改正医療法が成立したことにより新し
い移行計画の認定制度も確定したことになり、医療法人の持分に内在する課題を解決するための有効な対策になりうるのではないかと期待されている。
 本稿では、医療法人の持分を巡る課題と新たな認定制度のインパクトについて改めて整理した上で解説する。

2. 持分と事業承継の問題点

 医療法人における事業承継を考える際に、持分の課題は避けて通れないことが多い。医療法人の持分問題には大きく払戻問題と持分の異動に伴う税金の問題が存在する。
① 持分の払戻
 持分とは「定款の定めるところにより、出資額に応じて払戻し又は残余財産の分配を受ける権利」をいう。持分あり医療法人では、出資社員は持分に応じて払戻を請求する権利を有しており、当該社員が退社しその権利を行使した場合、医療法人はその請求に応じなければならない。「持分に応じて」という文言がポイントになる。剰余金がある医療法人において払戻
の請求がおこなわれた場合、当初の出資額だけではなく、その剰余金も加味した上で払戻に応じなければならない。良好な経営状況が長期間継続し、剰余金が多額であれば、経営を揺るがすほどの高額な払戻に応じざるを得ない可能性も出てくる。通常の運営時には出資者が医療法人の永続性を考えて合理的に行動するため払戻請求を選択する可能性は低いと思われるが、出資者に何らかの事由が発生し退社等に至った場合、状況は一変するので注意が必要である。

② 税金の問題
 持分の異動の際に関係する税金は、大きく相続税、贈与税及び所得税であるが、事業承継の際、特に影響してくるのは相続税及び贈与税になるため、この2つの税金を中心に見ていく。相続税又は贈与税が課されるのは主に次のようなケースである。①医療法人の持分を有する社員から相続又は遺贈により持分を相続した場合、相続人には相続税が課される。②医療法人の持分を有する一部の社員が持分を放棄した場合、他の出資者(以下「残存出資者」という。)に贈与税が課される。③医療法人の持分を有する全社員が持分を放棄した場合、医療法人に贈与税が課される可能性がある。ここで注意しておきたいのは、出資者が存在する限り相続税の問題は必ず存在し、相続税の問題を根本的に解決するためには持分なし医療法人に移行せざるを得ないということである。

<次回、「3. 医療法人への贈与税課税問題」へと続く>

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